大人の発達障害 【子どもの時はまさか発達障害とは思いもしなかった】
子どもの頃、元気がありすぎたり少し変わった行動をする子どもは「個性的だ」と見られることが多いかもしれません。
多くの場合、学校や家庭でのサポートがあり、特に大きな問題とはならずに過ごすことができます。
しかし、大人になり、職場や社会での責任が増えるにつれ、これまで気づかれなかった特性が、発達障害によるものだったと気づくことがあります。
今回は「子どもの時には発達障害だと思わなかった」というテーマについて掘り下げていきます。
子どもの頃には比較的問題なく過ごせていたとしても、大人になると発達障害の特性により生きづらさを感じることがあります。
子どものころは個性だと思っていたことが、大人になってから発達障害の症状かもしれないと感じたことはありませんか?
個性だと思っていたことが発達障害の特徴だった
子ども頃は、元気がある、集中力がない、ちょっと変わった趣味を持っているなど、子どもならではの特徴として受け止められがちです。
しかし、それが成長するにつれて、社会生活や職場での対応に苦労するなど、日常生活に影響を与える場合、発達障害の可能性があります。
発達障害の診断は、個々の特性や症状の程度によって異なります。
たとえば、注意欠如・多動性障害(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)など、発達障害と一口に言っても、さまざまな形があります。
注意欠如・多動性障害(ADHD)や自閉スペクトラム症(ASD)は、発達障害の中でも特に認知されていますが、それぞれが異なる特性を持っています。
ADHDの場合、主な症状には不注意、衝動性、多動性があります。
これらの症状は、学校や職場、日常生活のさまざまな場面で表れます。
一方、ASDは、社会的コミュニケーションに困難が見られる特性があります。
また、繰り返しの行動や限定された興味、特定のルーチンや儀式に対する強いこだわりなども、ASDの一般的な特徴です。
【注意欠如・多動性障害(ADHD)】
集中が続かなかったり、じっとしているのが苦手。
【自閉スペクトラム症(ASD)】
人との会話が苦手だったり、いつも同じことを繰り返したがる傾向がある。
大切なのは、子どもの「個性」として見過ごされがちなこれらの症状が、大人になってからの生活や対人関係にどのような影響を与えているかを理解して、適切なサポートを受けることです。
ADHDやASDのように、はっきりとした特徴がある場合もあれば、人によってはちょっとした違いしかないことも。
だから、一人ひとりに合わせた対応が必要になります。
大人の発達障害 【子どもの頃は普通に過ごせていたのに大人になると過ごせなくなる】
子どもの頃に発達障害の兆候があったとしても、それがすぐに問題にはならない場合も多くあります。
しかし、大人になって仕事や人間関係などが複雑化することで、発達障害の特性が顕著になります。
なぜ、子供のころは問題にならないのでしょうか?
子どもの頃に発達障害の兆候があっても、すぐに問題にならない理由はいくつかあります。
まず、子どもの行動や特性は成長の過程で変わることが多く、多動性や注意の散漫さなども「子どもらしさ」として見過ごされがちです。
また、子どもは大人に比べて社会的な責任が少なく、学校や家庭など、彼らの特性を受け入れてサポートしてくれる環境があることもあり問題が顕在化しにくい状況にあります。
しかし、大人になると、仕事や家庭などの責任を自らが負うようになり、サポートしてくれる環境の整っていない中で、より複雑で柔軟な対応が求められます。
この時、子どもの頃は目立たなかった特性が、日常生活や職場で表れてしまいます。
自分自身で行動を管理したり、複数の仕事を同時にこなしたりする必要が出てくるため、発達障害の特性が障害として認識されやすくなるのです。
大人の発達障害によって生きにくいと感じる人は、専門家(医者・カウンセラー・理解者)のサポートを受けることで、自分の特性を理解し、自分らしく過ごすことができます。
発達障害があることが分かると、「あ、自分はこれで大丈夫なんだ」と安心できたり、学校や仕事でどうやって頑張っていけばいいかのヒントがもらえたりします。
専門家(医者・カウンセラー)としっかり相談して、自分に合ったサポートを見つけることが大切です。
なぜ?子どものころは問題にならないのでしょうか? さらに深掘りしていきます。
子どもの頃の発達障害があまり問題にならない理由は、学校などの場所で予定や日常がはっきりしているからです。
学校では、授業の時間割りや休み時間がきちんと決まっていて、子どもたちは毎日、同じ流れで活動します。
このように毎日が予測できると、発達障害のある子も集中しやすくなり、安心して過ごせます。
子どもは自立していないので、規則正しくなるように管理されています。
管理されているので大きくズレることもなく、ズレたとしても大人(親や教師)が修正してくれますよね。
学校では先生が、何を先にやるか、一日中どんなことをするかなど、いろいろ教えてくれますよね。
これが、子どもたちにとって役立っています。
なぜなら、先生が明確に教えてくれるおかげで、子どもたちは何に集中すればいいのかが分かり、勉強にしっかり取り組むことができるからです。
一方、大人になり社会人になると「自分で考えろ」、「自発的に動いてください」など”次に何をすればよいか”は自分で導き出さないといけません。
学校の勉強は、きちんと順番に進められていますよね。
授業では、一つ一つのことを順に学んでいきます。
このやり方は、発達障害のある子供たちにもとても良いのです。
なぜなら、きちんと順番が決まっているので子どもたちは新しいことを少しずつ、わかりやすく学べるからです。
大人になると、学校での勉強とは違い、日常の仕事や生活では物事が順番通りに進むわけではありません。
仕事を自分で見つけ、優先順位をつけ、計画的に進める必要があります。
家では親が毎日何をするかを決めてくれます。
たとえば、何時にご飯を食べるか、何時に寝るかとかですね。
これは、子どもたちが毎日、同じことを繰り返す上で欠かせないサポートです。
特に子どもが小さいうちはより効果的です。
親の管理によって子どもたちは毎日、同じように過ごしやすくなります。
大人になると、親がいつ何をするか決めてくれるわけではありません。自分で食事の時間を決めたり、睡眠時間を管理したりする必要があります。
こうした自立した生活を送るためには、計画を立てたり、時間を効率的に使ったりするスキルが必要になります。
学校では、ちょっと勉強が難しいと感じる子どもたちのために特別な支援があります。
普通の授業とは別に個別指導があったり、勉強の仕方を教えてくれたりします。
このように、一人ひとりに合ったやり方で勉強する機会も得やすいので、困っている子どもたちも安心して学ぶことができます。
大人になってからは、学校のような特別な支援は自動的には提供されません。職場や日常生活で困難に直面したとき、自分で解決策を見つけるか、適切なサポートを自ら求める必要があります。
たとえば、職場での仕事の進め方が難しいと感じたら、上司や同僚に相談したり、必要なら専門家の助けを借りたりすることが大切です。
学校ではクラスの友達とたくさん遊んだり、話したりしますよね。
これが、人と上手に話す方法や仲良くするコツなどの、社会でうまくやっていく力を養っていくことにつながります。
友達との楽しい時間に、社交辞令や、表情で感情を読み取るなどの高度なコミュニケーションが求められることはあまりなく、大人と比べてコミュニケーションの壁にぶつかることは少ないでしょう。
大人になってからは、学校のように友達と一緒に過ごす時間は減り、人との関わり方も変わってきます。
職場でのコミュニケーションや、プライベートでの関係構築が新たな課題となります。
大人の発達障害 【子ども時代と大人になってからの違い】
【責任の違い】
子どもの頃は、学校や家庭での管理された環境が子どもの支援となり、子ども自身の責任の元生活することはあまりないため、発達障害の影響は軽減されやすいです。
しかし大人になると、仕事や家庭の管理など、より複雑で社会的な責任を自分で負うようになり、発達障害の影響を受けやすくなります。
【サポート体制】
子どもの頃は親や教師からのサポートがあり、自己管理が不十分でも何も問題ありませんでした。
しかし大人になると、当然サポートもなくなり、全てにおいて自己管理が求められてしまいます。
大人になってから 発達障害に苦しむ場面
- 仕事面:仕事の優先順位付けや時間管理、チームワークなど、職場で複雑なスキルを求められても、発達障害の特性によって応えられない場合があります。
- 家族との生活: 家計の管理、子育て、家事など、日常生活においても発達障害の特性により、うまく出来ない、忘れる、効率が悪くなるなどの影響が出ます。
- 社会的関係の管理:発達障害を持つ人にとって、友人関係や職場の人間関係など、人とのつながりを維持するのが、時に大きな課題となります。
子ども時代に比べて大人になると自立した生活や社会的責任が大きな負担となります。
発達障害の理解とサポートは大人になってからの方が重要なのです。
大人の発達障害 【大人になったらどうなるの?】 具体的に見ていきましょう
【自分で考えて行動する必要がある】
大人になると、自分でいろいろ考えて行動しなければなりません。
仕事では自分で仕事を管理したり、家庭では家事やお金のことを考えたりする必要があります。
学校のように時間割が決まっているわけではないので、日々のスケジュールや、やるべきことの計画も自分で立てることが求められます。
【責任が増える】
子どもの頃は親が日常生活の多くをサポートしてくれましたが、大人になると、そのような手厚いサポートは受けられなくなります。
つまり、日々の生活や仕事の責任は、一人ひとりが自分で担うようになるのです。
【大人になると認識する】
子どもの頃は、自分が発達障害を持っていることに気づかないことがよくあります。
また、発達障害があっても、日常生活に大きな支障を感じないこともあります。
しかし、大人になると、仕事や社会生活での要求が増えるため、発達障害による問題がよりはっきりと見えてきます。
子どもの頃にはあまり気にならなかったことが、大人になると認識されるようになるのです。
子どもの頃は大人に比べて発達障害の影響が少なく感じられますが、大人になると、もっと自分で考えたり、計画する必要があるため、困ることが増えてきます。
大人の発達障害 【発達障害を持つ親の気持ち】
発達障害の子どもを持つ親御さんの正直な気持ちをまとめてみました。
発達障害を持つ子どもを育てた親が、成人し社会に出た子どもを見守る心境は、愛情深く、同時に多くの思いが交錯しています。
【親の気持ち】
発達障害を持つ子どもを持つ親としての立場から、子どもが成人し社会人になった今、振り返ってみると、私は子どもの頃の彼の落ち着きのなさをただの個性だと思っていました。
発達障害とは気づかなかったんです。
子どもが小さい頃、彼の行動の一つ一つが私にとっては特別で、その全てが彼の魅力の一部だと感じていました。
彼が大人になって社会に出た今でも、その思いは変わりません。
しかし、社会人として生活している今、彼が直面する挑戦や困難に対して、親としてどうサポートすれば良いのか、正直なところ不安でいっぱいです。
彼が子供の頃に私たちがもっと発達障害について理解していれば、もっと適切な支援ができたのではないかと考えると、申し訳ない気持ちになります。
職場でうまくやっていけるのか、上司や先輩とコミュニケーションを取れているのか、仕事のストレスをうまく対処できているのかなど、心配事は尽きません。
私たち親としては、彼の個性を尊重し、自分らしく働いて社会で活躍できるように、愛情をもって支えていきたいと思っています。そして、彼が社会で自立して幸せに生きていくために、必要な支援や理解が得られるよう、私たちも学び続けるつもりです。
【社会の在り方】
子どものころは、ただの元気な子だと思っていたけど、大人になってから発達障害だと気づくこともあります。
小さな頃の行動が、実は発達障害のサインだったなんて、と後になってから思う親御さんも多いです。
でも、大人になった今でも、その子の個性はそのままで、それがその子の魅力の一つです。
ただ、社会に出てからの困難や挑戦は、子どもの頃とは違います。
親として、どうサポートすればいいのか、不安になることもたくさんあります。
発達障害があるかないかに関わらず、親は子どもが健康で幸せに、そして自分らしく働ける環境にいることを願っていると思います。
そして発達障害を持っていることで、より心配な気持ちを抱くことでしょう。
もし、もっと早く発達障害について知っていれば、と後悔することもあるかもしれません。
でも、大事なのは、その子がこれから直面するかもしれない困難にどう寄り添って支えていけるかです。
子どもの「個性」を大切にしながら、社会でうまくやっていくためのサポートをしてあげることが、親にできる一番のことだと思います。
子どもが自分らしく、幸せに生きていけるように、家族だけでなく、社会全体で支え合うことが大切です。
本記事に記載されている特徴は、発達障害を持つ全ての個人に当てはまるわけではなく、個人差があることをご留意ください。
この記事の監修者
鈴木祐貴(すずき ゆたか)
大人の発達障害専門サポート
発達障害の特性を持つ大人のためのコンサルタントとして、多くの方の「自分らしく働く」未来をサポートしています。
発達障害を持つ方が普通に働き、安心して日常生活を送れるような環境作りに情熱を注いでいます。
経歴と実績▼
・人材育成のプロ:人材育成10年、マネジメント10年、管理職8年の経験を持ち、発達障害を持つ部下や後輩の育成にも成功。支店や部署全体の成績向上に貢献。
・多部門での実績:人事部、営業部、管理部、経営企画部で所属長を歴任。
営業・マーケティング、社内マネジメント、企画開発など幅広い分野で活躍。
大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)・ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)・グレーゾーン・繊細さん サポートについて
ここまでお付き合いくださりありがとうございます。
こちらの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
発達障害で悩んでいると、一人で抱え込みがちになってしまうかもしれません。
でも、あなたは決して一人ではありません。困ったときは、誰かを頼ってもいいんです。
むしろ、人とつながることで新しい視点や解決策が見つかることも多いものです。
自分の特性を理解し、それを活かすことで、これまで見えなかった可能性が広がります。あなたが感じている不安や悩みは、共感できる人が必ずいます。
私もその一人として、あなたの力になりたいと思っています。
これまで多くの方々が、自分自身と向き合いながら前に進んできました。
あなたもきっと、自分らしい生き方を見つけることができます。その一歩を踏み出すお手伝いをさせていただければ幸いです。
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