大人の発達障害 【親(母親/父親)が発達障害(ADHD・ASD)の場合の影響】
日常生活の中で、子どもを育てる親も様々な悩みや課題に直面しています。
特に発達障害を持つ親は、片付けや時間の管理、感情のコントロールが難しく、子どもとの関係で苦労することがあります。
また、発達障害の親と子どもの間では、コミュニケーションの難しさや誤解が生まれやすく、その結果、親子の絆が揺らぐこともあります。
この記事では、発達障害を持つ親が抱える問題や、それが子どもにどのように影響を与えるかを詳しく見ていきます。
親(母親/父親)がADHDの場合に見られる問題とその影響
ADHDの親が直面する課題には、「片付けができない」・「整理整頓が苦手」・「時間を守れない」・「感情のコントロールが難しい(怒りっぽい・すぐに泣く)」「忘れっぽい」といった特徴がよく見られます。
これらの特徴は、日常や子育ての場面でさまざまな悩みの原因となることがあります。
しかし、自閉スペクトラム症(ASD)の親とは異なり、親が子どもに対して愛情を積極的に表現する傾向が見られます。
たとえば、親が片付けや時間の管理が苦手だったとしても、子どもは「少しだらしないけれど、自分を大切にしてくれる優しい親」として受け止めることが多いです。
また、ADHDの特性がある親は、時々衝動的に怒ってしまうことがあっても、深い愛情を示すことができるため、子どもにとっては親の短所が大きな問題として認識されない場合もあります。
しかし、ADHDの親の行動が子どもに全く影響を与えないというわけではありません。
親が頻繁に感情的になったり、言ったことを忘れてしまうことが、子どもにとって混乱や不安を引き起こすことがあります。
特に感受性が強く、周囲の変化に敏感な子どもにとっては、親の感情の波や一貫性のなさがストレス要因となることが少なくありません。
子どものストレスとなる例
親が怒りっぽい
子どもは「どうしてこんなに些細なことで怒るのだろう」と戸惑いを感じる
親が約束を忘れたり突然予定を変える
子どもは「信じてもいいのだろうか」という不安感を抱く
こうした状況が積み重なると、子どもは親に対して心理的に距離を置くようになったり、自分自身の感情の整理が難しくなることがあります。
このような場合には、親子間のコミュニケーションを円滑にするための工夫が不可欠です。
親が自分の特性を理解し、感情のコントロールや約束の管理などを工夫することが、子どもの安心感を高めるために重要です。
ADHDの親にとって、自分の特性が子どもにどのように影響しているかを理解し、それに対処するための工夫やサポートを取り入れることは、健全な親子関係を築くために重要なステップです。
親自身が特性を理解し、対策を取ることが子どもの安心感に繋がるんですね。
親(母親/父親)がADHDの場合に見られる問題とその影響-まとめ-
ADHDの親の特徴
片付けや時間管理が苦手、感情のコントロールが難しい、忘れっぽいといった課題がよく見られる。
子どもへの影響
親の感情的な行動や約束を忘れることが、子どもに混乱や不安を与えることがある。
ポジティブな面
ADHDの親は愛情を積極的に表現するため、短所があっても子どもは親を優しく受け入れることが多い。
対策の必要性
親が自分の特性を理解し、感情や約束の管理を工夫することで、子どもの安心感を高めることが重要。
サポートの活用
親が工夫やサポートを取り入れることが、親子関係を健全に保つための大切なステップとなる。
自閉スペクトラム症(ASD)の親(母親/父親)との親子関係の難しさ
親が自閉スペクトラム症(ASD)の特性を持っている場合、親子関係において様々な問題が起こりやすくなります。
ASDの特性には、他者とのコミュニケーションが不得手であったり、他人への関心が薄い、強いこだわりを持つといった特徴が含まれます。
そのため、親が子どもと対話をする際、子どもは親に対して、距離を感じたり、スムーズなコミュニケーションが難しいと感じることがあります。
たとえば、ASDの親は、子どもの気持ちや状況を理解することが難しいケースがあります。
その場合、子どもは、困っていたのに親から十分な共感や助けを得られなかった、と孤独に感じてしまうことも…。
特に、親が感情や非言語的な表現(アイコンタクトなど)を読み取るのが苦手な場合、子どもは自分の気持ちが伝わりにくく、親に対して諦めや距離感を覚えることがあります。
また、ASDの親は物事に対して白黒はっきりさせたい傾向が強く、あいまいな状況や柔軟な判断が苦手です。
そのため、子どもが親と異なる意見を持ったとき、その意見を受け入れられず、すぐに否定してしまうことが少なくありません。
このような対話を重ねていくと、子どもは自分の意見や気持ちを否定されていると思うようになり、結果として親との関係に深い溝を感じることがあります。
さらに、ASDの方は「ほどほど」や「あいまいな判断」が苦手であるため、親の物事の捉え方が極端になりやすいと言えます。
たとえば、学校の成績や生活習慣に関して、良いか悪いかという二者択一の視点で物事を見てしまい、中間的な考え方や柔軟な対応ができない、といったことが起こります。
このような極端な視点は、子どもに過度なプレッシャーを与え、自己表現の機会を奪うことに繋がってしまいます。
結果、子どもは自分の意見や感情を抑え込む傾向が強まり、孤独感を抱きやすくなります。
自閉スペクトラム症(ASD)の親(母親/父親)との親子関係-子どもが孤独感を感じる例-
学校の成績
ASDの親は、子どもの成績を「良い」か「悪い」のどちらかで判断しがちです。
(例)テストで80点を取っても、100点でない限り「良くない」と捉え、子どもにもっと努力するように厳しく指導してしまう。
ルールの厳格な適用
家庭内のルールや決まりごとを厳しく守ろうとするため、少しでもそのルールから外れると許容できず、子どもに対して厳しく叱ったり、ルールを守らなかった理由を聞く前に罰を与えることがあります。
(例)「夕飯は6時」と決めていたが、少し遅れただけで強く怒ってしまう。
家事や掃除の方法
親が特定の家事のやり方を「正しい方法」として決めている場合、他のやり方が許されず、少しでも違うやり方をすると「間違っている」として強く指摘されます。
(例)食器の並べ方や掃除の順番が自分のやり方と異なっていると、正そうとする。
ファッションや外見に対する判断
親が「こうでなければならない」という強い思い込みを持っている場合、子どもの服装や外見について厳しく指導することがあります。
(例)服の色やデザインに対して、特定の組み合わせでないと許さない、もしくは「それはおかしい」と強く反対してしまう。
意見の対立
親が自分の意見を「正しい」と強く信じているため、子どもが違う意見を言った場合、それを否定してしまうことがあります。
(例)家族旅行の計画について、親が決めた行き先に対して子どもが別の場所を提案しても、親の決定を絶対として譲らなかった。
親子間の問題は外から見えにくいことが多く、子どもが他の大人に相談しても、親の特性が理解されずに問題が軽視されることがあります。
このような親子関係の難しさを解決するためには、親が自分の特性を理解し、柔軟な対応を心掛ける必要があります。
親(母親/父親)の二面性が子どもの心に与える混乱について
自閉スペクトラム症(ASD)の親は、職場や社会的な場面において、他者と円滑に関わるために無理をして適応していることが多くあります。
その結果、周囲の大人たちからは「普通」に見えたり、何の問題もなく社会生活を送っているように映ることもあります。
しかし、家庭に戻るとそのような無理をしなくてもよい環境になるため、職場で見せる姿とは異なる一面を子どもに見せることが少なくありません。
このギャップが、子どもにとって大きな戸惑いを引き起こす原因となるのです。
親(母親/父親)の二面性-家庭内と外でのギャップ-
子どもは家庭内と外の世界で見せる親の異なる態度に混乱し、自分自身の価値観や感情の整理が難しくなることがあります。
外では「優しくて親切な大人」に見える親が、家庭では「厳しくて怒りっぽい存在」に変わるため、子どもはそのギャップを理解できず、不安感を抱えることが増えていきます。
家庭内と外での親のギャップ▼
親の態度の急な変化に子どもが対応できず、不安や孤独を感じることがあります。
親(母親/父親)の二面性-感情のコントロール-
家庭内では、親が職場で抑えていた感情を表に出すことが増えます。
特にASDの親は感情のコントロールや他者の気持ちを汲み取ることが苦手なため、子どもに対して感情的になったり、無意識に厳しい言葉を使うことがあります。
親は無自覚でも、子どもはその言動によって傷つくことも多く、心に痛みを感じてしまいます。
感情のコントロール▼
ASDの親は職場などで無理をして適応しているため、家庭内では感情的になりやすく、子どもに対して厳しい言葉を無意識に使ってしまうことがあります。
親子関係と発達障害への理解
発達障害の特性を持つ親だからといって、必ずしも親子関係に問題が生じるわけではありません。
親子の関係は、発達障害だけでなく、親自身の性格や育った環境、これまでの経験などさまざまな要因が影響を与えています。
親が発達障害の特性が強く現れている場合でも、自己理解を深め、自身の特性を正しく把握・管理することで、子どもとの関係を良好に保つことができます。
重要なのは、親自身が発達障害の特性を受け入れ、その影響を理解することです。
自己理解
親が自分の特性を理解し、それを正しく把握することで、子どもとの関係を良好に保つことができます。
ストレス管理
親がストレスに適切に対応し、自己管理をすることで、家庭内のコミュニケーションがスムーズになります。
発達障害の親を持つ子どもが抱く可能性のある感情”10選”
・「自分は親にとって迷惑なのでは?」と思う。
・「どうしてうちの親は他の親みたいに話を聞いてくれないのだろう?」と感じる。
・「自分が何か間違えたのでは?」と不安になる。
・「親に褒められたいけれど、どうすればいいか分からない」と戸惑う。
・「どうしていつも、自分ばかり怒られてしまうのだろう?」と感じる。
・「親の期待に応えられない自分はダメな子なのかもしれない」と自己否定する。
・「親ともっと仲良くなりたいけれど、どう接したらいいか分からない」と悩む。
・「親が感情を見せないから、どう思っているか分からなくて不安」と感じる。
・「親に自分のことを理解してもらえていない気がする」と孤独を感じる。
・「親に自分の気持ちを伝えるのが怖い」と遠慮する。
親子関係をうまくするためにできること
発達障害を持つ親(ADHDやASD)は、日々の生活や子育てで発達障害ならではの悩みを抱えることがあります。
片付けや時間の管理、感情のコントロールが苦手な場合、それが直接子どもに影響を与えることがあります。
特に、親が感情的になりやすかったり、約束を守れない状況が続くと、子どもは不安や混乱を抱えやすくなります。
一方で、発達障害を持つ親でも、愛情を表現しようとする意欲や、親子の絆を築こうとする気持ちは強く、その努力が子どもにポジティブな影響を与えることもあります。
しかし、ADHDやASDの特性によって、親子間のコミュニケーションが難しくなることも少なくありません。
そのため、親が自己理解を深め、感情のコントロールやコミュニケーション方法を工夫していくことが大切です。
発達障害を持つ親が自分の特性を理解し、それを子育てにどう活かすかが、親子関係の質に大きく影響します。
本記事に記載されている特徴は、発達障害を持つ全ての個人に当てはまるわけではなく、個人差があることをご留意ください。
この記事の監修者
鈴木祐貴(すずき ゆたか)
大人の発達障害専門サポート
発達障害の特性を持つ大人のためのコンサルタントとして、多くの方の「自分らしく働く」未来をサポートしています。
発達障害を持つ方が普通に働き、安心して日常生活を送れるような環境作りに情熱を注いでいます。
経歴と実績▼
・人材育成のプロ:人材育成10年、マネジメント10年、管理職8年の経験を持ち、発達障害を持つ部下や後輩の育成にも成功。支店や部署全体の成績向上に貢献。
・多部門での実績:人事部、営業部、管理部、経営企画部で所属長を歴任。
営業・マーケティング、社内マネジメント、企画開発など幅広い分野で活躍。
大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)・ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)・グレーゾーン・繊細さん サポートについて
ここまでお付き合いくださりありがとうございます。
こちらの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
発達障害で悩んでいると、一人で抱え込みがちになってしまうかもしれません。
でも、あなたは決して一人ではありません。困ったときは、誰かを頼ってもいいんです。
むしろ、人とつながることで新しい視点や解決策が見つかることも多いものです。
自分の特性を理解し、それを活かすことで、これまで見えなかった可能性が広がります。あなたが感じている不安や悩みは、共感できる人が必ずいます。
私もその一人として、あなたの力になりたいと思っています。
これまで多くの方々が、自分自身と向き合いながら前に進んできました。
あなたもきっと、自分らしい生き方を見つけることができます。その一歩を踏み出すお手伝いをさせていただければ幸いです。
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