大人の発達障害 仕事編【忘れ物が多い】 

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目次

大人の発達障害 【忘れ物が多い】

仕事や日常生活において、物を忘れることは誰にでもありますが、発達障害を持つ大人の方々にとっては、それが大きな悩みとなることがあります。

特に、ADHDの特性を持つ人々は、忘れ物や注意散漫によるミスが日常的に発生し、それが仕事や人間関係にまで影響を与えてしまうことが少なくありません。

このような忘れ物が、本人にとってどれだけの負担となるのか、またその背景にはどのような特性があるのかを見ていきましょう。

職場では、細かい仕事やスケジュール、重要な会議や納期など、覚えておくべきことがたくさんあります。
ADHDの特性による情報処理や記憶の問題があると、これらをうまく管理できず、忘れ物や忘れ事が多くなり、仕事の効率や信頼性に影響を与えかねません。

ワザと忘れ物をしているのではなく、”仕方なく”忘れ物をしてしまっているということですね。

なぜ忘れ物が多いのかを見ていきましょう

1. ADHDと情報処理の問題

ADHD(注意欠陥・多動性障害)を持つ人は、多くの情報を整理処理したり記憶したりするのが苦手という特性があります。
この特性が、忘れ物が多くなる一つの理由です。

2. 短期記憶の問題

ADHDの人は特に「短期記憶」に問題を持ちやすいです。
短期記憶とは、ちょっとしたことを一時的に覚えておく能力のこと。
例えば、「これから会議にこの資料を持っていく」と思ったものの、実際に会議に行く時にはすっかり忘れてしまう…というようなことが起こります。

3. 注意力が散漫

ADHDの人は注意力が散漫になりやすいという特性もあります。
多くの刺激や情報の中で、気をそらさずに何かに集中することが難しく、他のことに気を取られてしまった結果、大事なことを忘れがちになります。

忘れ物が多いことについて、決して軽く考えているわけではありません。
本人も悩みを抱えているのです。

大人の発達障害 【忘れ物が多い】 忘れ物が多いことで本人が抱く感情について

大人の発達障害を持つ人にとって忘れ物をするということは、自信の喪失やストレスの原因になります。
仕事や日常生活での小さな失敗が、心に大きな影響を与えるのです。

発達障害の人は繊細な一面があり、忘れものによる失敗の経験を積み重ねるとある意味ではトラウマのような感情を抱きます。

忘れ物をしたときに抱く感情について

忘れ物をしてしまうたびに、本当に自分が嫌になります。大事なものを忘れるたびに、「またか」と自分を責めています。自分のうっかりさに、本当に落ち込みます。

自分の忘れっぽさに、本当にイライラしてしまいます。他の人たちはそんなに物を忘れないのに、なんで私だけがこんなにダメなんだろうと思ってしまいます。

自分の忘れ物が、周囲に迷惑をかけていることが分かっていて、それがまた苦しい。申し訳ない気持ちでいっぱいです。

時には「もう無理かもしれない」と途方に暮れることもあります。いくら注意しても、また忘れる。その繰り返しに、自分でもどうしたらいいか分からなくなります。

たまには「もういいよ、忘れたって!」と逆切れしてしまうこともあります。分かってる、忘れちゃいけないってことは。でも、どうしてもうまくいかないんです。

忘れ物をし続けてしまうことに対する本音です。
周りからみれば、”また”忘れ物をしたと思われてしまうかもしれませんが…。

大人の発達障害 【忘れ物が多い】仕事の例

 飲食業界

カウンターやテーブルで受けた顧客の注文を忘れ、注文がキッチンに伝わらなかったり、間違った料理を提供してしまう。

必要な食材や備品の仕入れを忘れて、食材を不足してしまう。

顧客からの予約情報を確認し忘れ、予約時間に準備が整っていない。

定期的な清掃やメンテナンスのスケジュールを忘れ、衛生状態が悪化することがある。

店を閉める際の準備を忘れ、翌日の営業開始に影響が出る。

 販売員

商品の在庫を確認し、店頭に補充するのを忘れ、商品が売り場にない状態が続く。

特定の商品の割引やプロモーション情報を顧客に伝え忘れ、販売機会を逃す。

顧客からの受注情報をシステムに入力するのを忘れ、注文処理に遅れが生じる。

顧客からの特別な要望や注文の詳細を忘れ、顧客満足度に影響が出る。

 運送業

顧客の荷物を正しい配送先に届けるのを忘れ、間違った住所に配達してしまう。

配達予定の荷物をトラックに積み込むのを忘れ、配達に遅れが出る。

特定の配送スケジュールや時間指定の荷物を忘れ、顧客からのクレームが発生する。

配送完了後に必要な書類(例えば配送記録や領収書)を提出するのを忘れる。

定期的な車両の安全点検やメンテナンスを行うのを忘れ、運行安全性に影響が出る。

工場勤務

必要な安全装備(例えば安全ヘルメット、保護メガネ、手袋など)を着用するのを忘れ、安全上のリスクが生じる。

定期的な機械メンテナンスのスケジュールを忘れ、機械の故障や稼働停止を引き起こす。

生産ラインの設定変更や調整をするのを忘れ、品質に問題が生じる。

製品の最終検品や品質チェックを行うのを忘れ、不良品が出荷されてしまう。

生産データや業務報告書の提出を忘れ、情報共有に支障をきたす。

 IT業界

作業していたコードのバックアップを取るのを忘れ、システムトラブル時に重要なデータを失う。

プロジェクトの締め切り日を忘れ、期限ギリギリでの作業や遅延を引き起こす。

予定していたクライアントとのミーティングやオンライン会議を忘れ、重要な打ち合わせに参加しない。

作業ドキュメントやマニュアルの更新を忘れ、チーム内での情報共有に支障をきたす。

 営業職

重要な顧客ミーティングのためのプレゼンテーション資料や、提出する契約書、見積書などをオフィスに忘れる。

顧客とのアポイントメントの日時を忘れてしまい、ミーティングに遅れ、顧客からの信頼を失う。

顧客訪問の際、名刺を忘れてしまい、第一印象を損ねる。

交渉中の重要な条件や約束事を忘れてしまい、後でトラブルになる。

 ホテル業

ゲストへのウェルカムドリンクを提供するのを忘れる。

チェックイン時に必要な書類や鍵をフロントデスクに持っていくのを忘れる。

部屋清掃時に必要な掃除用具やリネンを持っていくのを忘れる。

予約された朝食サービスの提供を忘れる。ルームサービスの注文を受けたにも関わらず、提供を忘れる。

ゲストの特別なリクエスト(アレルギー対応、枕の種類など)を忘れる。

ホテル内のイベントや予約のスケジュールを忘れ、準備が間に合わない。

ゲストのチェックアウト時の請求書の準備を忘れる。

ゲストに返却するべき忘れ物を返し忘れる。

 一般事務 

大人の発達障害 【忘れ物が多い】忘れ物が多いことの対策

改善策と努力の仕方について実際に効果があったものをご紹介します。

1. リストの作成

改善策:やるべきことを書き出すことで、頭の中を整理し、忘れ物を防ぎます。
努力の仕方:毎日の始まりと終わりに、その日のタスクリストを見直し、更新する習慣をつけましょう。

2. カレンダーアプリの活用

改善策:重要な会議や納期、スケジュールをデジタルカレンダーに入力し、リマインダーを設定します。
努力の仕方:カレンダーアプリを積極的に使い、アラーム機能で自分をサポートするようにしましょう。

3. 優先順位の明確化

改善策:仕事に優先順位をつけて、最も重要な仕事から順番に取り組みます。
努力の仕方:どの仕事が最も重要かを判断する基準を明確にし、それに従って行動しましょう。

4. 情報の視覚化

改善策:ホワイトボードや付箋を使って、目に見える形で情報を管理します。
努力の仕方:仕事場にホワイトボードを設置し、進行中のタスクや締め切りを書き出しておきましょう。

5. 情報の視覚化

改善策:メモや音声記録など、情報を外部に記録する手段を利用します。
努力の仕方: 重要な情報を聞いたら、すぐにメモするか、スマートフォンの音声メモ機能を使って記録しましょう。

6. 定期的に休憩を取り入れる

改善策:集中力を維持し、情報をうまく処理するために、定期的な休憩が必要です。
努力の仕方:作業の間に5分から10分の短い休憩を取り、リフレッシュしましょう。

7. サポートの活用

改善策:カウンセラーや専門家にあなたのことを深く理解してもらい、必要なサポートを依頼します。
努力の仕方:自分の状況や気持ちを正直に話し、アドバイスの内容を実行する。

大人の発達障害 【忘れ物が多い】日常編 日々の生活の実例(おまけ)

日常における忘れ物の例と、具体的なエピソードをみていきましょう。

1.鍵を忘れる

原因:家を急いで出るときに、物事を順序立てて考えるのが難しい。
エピソード:朝、遅刻しそうになったため、急いで朝食を食べ家を出た。しばらくして、テーブルの上に家の鍵を忘れ、鍵もかけていないことに気付き、家に引き返すことになった。

2.携帯電話を忘れる

原因:複数のタスク(朝食をとる、着替えるなど)に集中していると、一つを忘れがち。
エピソード:朝、メールをチェックし、急いで出かける準備をしたため、携帯を家に忘れた。大事な連絡が取れない一日を過ごすことに。

3.財布を忘れる

原因:出かける前のルーチンが定まっていないため、必需品を確認し忘れる。
エピソード:スーパーのレジで財布がないことに気づく。慌てて家に戻り、財布を探す羽目に。

4.予定を忘れる

原因:日々のスケジュールを視覚的に管理していないため、予定の把握が難しい。
エピソード:友人との食事の約束をすっかり忘れ、友人からの連絡で初めて思い出す。

5.服装の一部を忘れる

原因:朝の忙しさで、細かい部分まで注意が行き届かない。
エピソード:大切なプレゼンテーションの日、ベルトをしていないことに出社後に気づく。

6.食事の用意を忘れる

原因:他の家事に気を取られ、開始したタスクを忘れる。
エピソード:夕食のおかずを作り始めたが、途中で来客があったことで、作りかけのおかずのことを忘れてしまった。

7.メールの返信を忘れる

原因:受信トレイがあふれており、重要なメールを見落とす。
エピソード:仕事の重要なメールを読んだが、その場で返信をしなかったため、他のメールに埋もれていき、返信を忘れてしまった。

8.水や電気を消し忘れる

原因:出かける前のチェックリストがなく、ルーチンが確立されていない。
エピソード:一日中外出して帰ってきたら、洗面所の蛇口が開いたままで水浸しになってしまっていた。

9.持ち物をどこかに置き忘れる

原因:一時的に物を置いた場所を記憶しておくのが難しい。
エピソード:図書館で勉強した後、席にメガネを置き忘れて帰宅してしまう。

10.服を洗濯機に入れたまま忘れる

原因:一連の洗濯の流れを最後まで追うのが難しい。
エピソード:洗濯機を回したはいいが、干すのを忘れており、翌日洗濯機を開けて気付いた。

11.薬を飲み忘れる

原因:日常の忙しさの中で、定期的な薬の服用が頭から抜け落ちる。
エピソード:夕食後に飲むはずの薬を、友人との電話で話し込んでしまい忘れた。翌朝、薬がそのままになっているのを見て気づく。

12.ガスや電子機器のスイッチを切り忘れる

原因:他のことを考えながらの作業で、最後にチェックすることを忘れる。
エピソード:夜更かしして映画を見た後、そのままベッドに倒れ込み、リビングのライトとテレビをつけっぱなしに。

13.食材や必要な物を買い忘れる

原因:スーパーでの多くの刺激に気を取られ、リストにあるものを見落とす。
エピソード: 週末のパーティー用に買い物に行ったが、メインディッシュに必要なチキンを買い忘れたことに家に帰ってから気づく。

14.窓やドアを閉め忘れる

原因:急いでいるときや、頭が他のことでいっぱいの時に起こりがち。
エピソード:朝の忙しさの中、裏口のドアを閉め忘れて出勤。幸いなことに何も起こらなかったが、帰宅時に驚く。

15.重要な書類を持っていくのを忘れる

原因:出かける前に最終チェックをする習慣がない。
エピソード:重要なミーティングのために準備した書類を、ダイニングテーブルの上に置き忘れてしまい、会議で困る。

16.ゴミ出しを忘れる

原因:日々のルーチンに組み込まれていないため、スケジュールを忘れがち。
エピソード:今日がゴミ出しの日だったことに気づかず、翌朝ゴミが溜まっているのを見て慌てる。

17.料理中のタイミングを忘れる

原因:複数の料理を同時に進めていると、各料理の正確な調理時間を見失う。
エピソード:ゲストを招いている夕食会で、パスタを茹でるタイミングを忘れ、すべてを台無しにしてしまう。

18.洗濯物を取り込むのを忘れる

原因:他の家事や仕事に忙しく、洗濯物が外にあることをすっかり忘れる。
エピソード:せっかく洗濯をしたが、取り込むのを忘れて雨に降られる。

19.駐車場で車の場所を忘れる

原因:買い物や用事で忙しく、どこに車を停めたかを忘れる。
エピソード:大きなショッピングモールで買い物を楽しんだ後、帰ろうとしたが、駐車場の位置も、どの出口から入ったかも忘れ、車を探すのに一苦労した。

20.料理の火を消すのを忘れる

原因:食後の片付けや次の予定に急いでいると、コンロの火を確認するのを忘れがち。
エピソード:友人との電話が長引き、煮込んでいたスープの火を消すのを忘れてしまった。幸い大事には至らなかったが、スープは焦げてしまった。

大人の発達障害 【忘れ物が多い】日常編 日々の生活の実例 対策(おまけ)

日常生活で忘れ物を減らすための効果的な方法をいくつか紹介します。

1.習慣付け

固定の置き場所を設ける。
鍵、財布、携帯電話など、日常的に使う物品には家の中で固定の置き場所を設けます。
これにより、必要な時にすぐに見つけることができます。

2.チェックリストの活用

出かける前や就寝前に、やるべきことや持ち物をチェックするリストを作成します。
これを習慣化することで、重要な事項を見落とすリスクを減らせます。

3.リマインダーアプリの使用

スマートフォンやタブレットのリマインダーやカレンダーアプリを活用して、約束事や重要なタスクの通知を設定します。
特にADHDのある人にとって、視覚的、聴覚的なリマインダーは非常に有効です。

4.物の整理

家や職場を整理整頓し、物が少ないシンプルな環境を作ります。物が少なければ、必要な物を見つけやすくなり、忘れ物が減ります。

5.ストレス管理

忘れ物の一因となるストレスや不安を軽減するために、瞑想、深呼吸、適度な運動などのリラクゼーション技法を実践します。これらの取り組みは、発達障害のある人が日常生活で直面する忘れ物の問題に対処するために有効です。

自分に合った方法を見つけ、一歩ずつ実践していくことが大切です。誰もが時には物を忘れるものですが、自分の生活パターンに合わせた工夫を見つけ、実践することが大切です。

この記事の監修者

鈴木祐貴(すずき ゆたか)

大人の発達障害専門サポート

発達障害の特性を持つ大人のためのコンサルタントとして、多くの方の「自分らしく働く」未来をサポートしています。

発達障害を持つ方が普通に働き、安心して日常生活を送れるような環境作りに情熱を注いでいます。

経歴と実績▼

・人材育成のプロ:人材育成10年、マネジメント10年、管理職8年の経験を持ち、発達障害を持つ部下や後輩の育成にも成功。支店や部署全体の成績向上に貢献。

・多部門での実績:人事部、営業部、管理部、経営企画部で所属長を歴任。
営業・マーケティング、社内マネジメント、企画開発など幅広い分野で活躍。

大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)・ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)・グレーゾーン・繊細さん サポートについて

ここまでお付き合いくださりありがとうございます。
こちらの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

発達障害で悩んでいると、一人で抱え込みがちになってしまうかもしれません。

でも、あなたは決して一人ではありません。困ったときは、誰かを頼ってもいいんです。

むしろ、人とつながることで新しい視点や解決策が見つかることも多いものです。

自分の特性を理解し、それを活かすことで、これまで見えなかった可能性が広がります。あなたが感じている不安や悩みは、共感できる人が必ずいます。

私もその一人として、あなたの力になりたいと思っています。

これまで多くの方々が、自分自身と向き合いながら前に進んできました。

あなたもきっと、自分らしい生き方を見つけることができます。その一歩を踏み出すお手伝いをさせていただければ幸いです。

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