大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)の強みと弱み
私たちが日々行っている仕事や生活の中には、多くのスキルや特性が求められています。
特に大人の発達障害の一つであるADHD(注意欠如・多動症)を持つ人にとっては、周囲の人と異なる部分が強みとして発揮されることもあれば、困難を感じる場面も少なくありません。
しかし、それらの特性が適切に理解され、活かされることで、大きな力となる可能性があります。今回は、大人のADHDに焦点を当て、強みと弱みについて詳しく見ていきたいと思います。
大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)の強みと弱みについてみていきましょう。
ADHDとASD 特性の違い(特性の違いと共通点については記事に詳細をまとめてます)
ASDの強み・弱み(ASDについては別の記事に詳細をまとめてます)
大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)の強み
面白いアイデアが浮かぶ
ADHDではない方が想像しないような斬新な新しいアイデアが次々と浮かぶ。
他の人とは違うユニークなアイデアを思いつきやすいです。
ADHDの特別な脳の働きにより、ユニークな発想ができ、「アイデアの宝庫」とも言えます。
なぜ面白いアイデアが浮かぶの?
ADHDの方は、一般的な考え方に囚われずに物事を考えることができるため、新しくて面白いアイデアが次々と浮かびやすいです。
ADHDの方の脳は、普通ならばつながらないような考え方やアイデアを結びつけるのが得意です。
これを「発散的思考」と言い、いろいろな方向に思考が広がることで、クリエイティブなアイデアが生まれやすくなります。
具体的な例
【広告業界】
新しい商品の宣伝で、通常では考えられないような斬新なアプローチを提案し、人々の注意を引くキャンペーンを考え出す。
【イベント企画】
一風変わったテーマのイベントを思いつき、参加者に新鮮な体験を提供する。
【商品開発】
普段使いの物に一工夫加えて、使い勝手を劇的に改善する新しい製品を発想する。
このような能力は、特に新しいアイデアや革新が求められる職業で非常に価値があります。
ADHDの方がいることでチームに新しい風を吹き込むことができ、物事を新しい角度から見ることが可能になるため、プロジェクトや製品にとって大きなプラスとなります。
興味のあることへの集中力がすごい
興味のあることにはすごく集中できるので、一度夢中になったらその時間を忘れて取り組めます。
興味を持ったことにはとても集中できる特性を持っています。
この特性は「ハイパーフォーカス」とも呼ばれ、普段は気が散りやすいかもしれないけれど、好きなことや興味のあることに対しては、まわりのことが見えなくなるほど没頭できます。
なぜこの集中力が発揮できるのか?
ADHDの方は、通常の状態では注意力が散漫になりがちですが、興味や関心のある活動に対しては、心地よさを司る脳のシステムが活性化され、通常よりも高い集中力を発揮できるようになります。
具体的な例
【ゲームやパズル】
興味のあるゲームやパズルを解いている時、時間を忘れて没頭する。
【特定の仕事】
デザインやプログラミングのような創造的な仕事において、新しいアイディアに取り組む際、周囲の騒音が全く気にならず、ひたすらその作業に集中する。
ハイパーフォーカスの能力は、特に創造的な作業や複雑な問題の解決が必要な職業で非常に有利です。
ADHDの方は、一度興味を持った分野においては、他の誰よりも深く掘り下げたり、長時間集中して取り組むことが可能です。
これにより、特定の分野で顕著な成果を上げることができます。
行動力と決断力
思い立ったらすぐ行動し、大胆な決断を下すことができる。
行動力があり決断力もあるのが特徴です。
つまり、何かを考えたら、すぐに動き出すことができます。
また、大きな決断を迷わずに下すことができるので、チャンスを掴むのが上手です。
なぜ行動力と決断力があるのか?
ADHDの方は衝動的な性質を持っているため、考えるより先に行動に移すことが多いです。
これが、迅速に物事を進める能力につながります。
さらに、リスクを恐れずに大胆な決断が可能なため、新しい試みや変化を恐れることなく、前進できるのです。
具体的な例
【プロジェクトのリーダーシップ】
新しいプロジェクトが始まると、積極的にリーダー役を引き受け、すぐに行動できます。
【新規事業の提案】
新しいアイデアや事業提案を恐れずに行い、それを推進することで会社内外での評価につながります。
このような行動力と決断力は、起業家精神を要する仕事や、迅速な判断が求められる緊急管理、プロジェクト管理などの分野で非常に価値があります。
また、営業職やマーケティングなど、常に新しいアイデアや斬新なアプローチが必要とされる職種でも力を発揮できます。
大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)の弱み
時間の管理
遅刻癖を治そうと思っても、自分ひとりではコントールが難しく遅刻を繰り返してしまう。
時間の管理には遅刻以外にも、約束の時間を忘れてしまったり、時間制限があるイベントや作業でもオーバーしてしまうといったケースも含みます。
時間を守ること、時間を意識する行動そのものが、ADHDの方にとっては難しいことなのです。
具体的な例
【会議に間に合わない】
会議の時間を間違える、会議開始までに仕事が終わない、会議の存在そのものを忘れてしまい、遅れてしまったり、会議に参加できなくなる。
【遅刻】
①いつもギリギリまで寝ているので出発の時間に遅れる。
②余裕を持って起きたのに、時間がありすぎるせいで他のこと(ゲームや漫画を読むなど)をしてしまい、結果遅刻する。
対処方法について
【アラームを設定】
スマートフォンや時計にアラームを設定して、重要な時間になったら教えてもらうようにします。(目覚まし以外にも◎)
【リマインダーを活用】
日々の仕事や会議の時間をデジタルカレンダーに入力して、事前にリマインダーが来るように設定します。
ADHDの方は時間を管理するのが苦手ですが、適切なツールを使用することで、日常生活や仕事での困りごとを減らすことができます。
時間管理の問題に対処する方法を身につけることで、遅刻が少なくなり、スムーズに日々を過ごすことが可能になります。
注意力の散漫さ
注意が散りやすく、仕事でミスが多い。興味がない仕事はまったく手がつかないことも。
ADHDの方は、一つのことに長く集中するのが難しいです。
周りの小さな音や動きにすぐ気が散ってしまうため、仕事の途中で他のことに気を取られやすいです。
これが原因で、細かいミスを繰り返したり、仕事を忘れたりすることがあります。
特に、興味のない仕事に取り組む際に顕著になります。
具体的な例
【作業中に気が散る】
①書類を作成している最中に外の音に気を取られ、何をしていたか忘れてしまうことがあります。
②仕事中にデスクの上にあるボールペンの位置がずれていることが気になり直す。
そして、他にも気になることがあると仕事よりもデスクの上が気になってしまう。
対処方法について
【周りの環境を整える】
作業スペースを整理整頓して、気が散る要因をできるだけ排除します。
ヘッドフォンを使って外の音を遮断するのも一つの方法です。
ADHDの方は、注意力が散漫になりやすく、特に興味のない仕事に対するモチベーションを維持するのが難しいです。
しかし、適切な方法で環境を整えたり、集中力を高める工夫をすることで、仕事の効率を上げることが可能です。
これにより、日常生活や職場での困りごとを軽減できます。
マルチタスクが苦手
複数の仕事を一度にこなすのが苦手です。例えば、電話をしながらメールを打つことができないなど。
ADHDの方は、注意力が一つのことに集中しにくいです。複数のタスクを同時に進めようとすると、どれにも集中できず、作業が中途半端になりやすいです。
具体的な例
【電話とメールの同時処理】
電話をしながらメールを打つ場合、電話の内容が頭に入らなかったり、メールにタイプミスが多発したりすることがあります。
【複数の仕事を同時に進める】
納期や締め切りがある仕事を同時に進めるのは、それぞれの納期を把握し優先順位をつけて取り組む必要があり、優先順位を間違えると納期や締め切りに遅れてしまいます。
対処方法について
【一つのタスクに集中する】
複数の作業を同時にこなすのではなく、一つのタスクに集中して完了させることを心がける。
【タスクリストを作成する】
やるべきことをリストアップして、一つずつ確実に行う方法も効果的です。
これにより、何をいつやるべきかが明確になります。
ADHDの方がマルチタスクが苦手なのは、注意力の特性に由来します。
一度に複数の作業をするのではなく、タスクを整理して一つずつ丁寧にこなすことが、作業効率を上げる鍵です。
感情のコントロール
思ったことをすぐ口に出してしまい、周囲を驚かせる。
感情のコントロールが難しいことがあります。
これは「衝動性」と呼ばれる特性の一部で、思ったことをすぐに口に出してしまうため、周囲の人をびっくりさせたり、間違った印象を与えたりすることがあります。
具体的な例
【会議中の発言】
会議で話が進む中、突然アイデアが浮かんだら、会議の流れを無視して、そのアイデアを発表してしまうことがあります。
これが原因で、時には話の流れを乱してしまうことも。
【人との会話】
人が話している最中に、自分の興味ある話題を突然切り出し、相手を困惑させることがあります。
対処方法について
【意図的に思考を停止する】
感情が高ぶったときは、深呼吸してから反応するように心がけます。
これにより、感情の高ぶりを落ち着かせる時間を作ることができます。
【会話ノートの利用】
会議や重要な会話の前に、主要なポイントをノートに記録しておき、話す内容を整理しておくことで、突発的な発言を減らせます。
ADHDの方が感情を即座に表現してしまうのは、その特性によるものですが、意識的な練習と対策によって改善することが可能です。
適切な自己コントロール技術を身につけることで、社交場面や職場での円滑なコミュニケーションが期待できます。
ADHDとASD 特性の違い(特性の違いと共通点については記事に詳細をまとめてます)
ASDの強み・弱み(ASDについては別の記事に詳細をまとめてます)
本記事に記載されている特徴は、発達障害を持つ全ての個人に当てはまるわけではなく、個人差があることをご留意ください。
この記事の監修者
鈴木祐貴(すずき ゆたか)
大人の発達障害専門サポート
発達障害の特性を持つ大人のためのコンサルタントとして、多くの方の「自分らしく働く」未来をサポートしています。
発達障害を持つ方が普通に働き、安心して日常生活を送れるような環境作りに情熱を注いでいます。
経歴と実績▼
・人材育成のプロ:人材育成10年、マネジメント10年、管理職8年の経験を持ち、発達障害を持つ部下や後輩の育成にも成功。支店や部署全体の成績向上に貢献。
・多部門での実績:人事部、営業部、管理部、経営企画部で所属長を歴任。
営業・マーケティング、社内マネジメント、企画開発など幅広い分野で活躍。
大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)・ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)・グレーゾーン・繊細さん サポートについて
ここまでお付き合いくださりありがとうございます。
こちらの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
発達障害で悩んでいると、一人で抱え込みがちになってしまうかもしれません。
でも、あなたは決して一人ではありません。困ったときは、誰かを頼ってもいいんです。
むしろ、人とつながることで新しい視点や解決策が見つかることも多いものです。
自分の特性を理解し、それを活かすことで、これまで見えなかった可能性が広がります。あなたが感じている不安や悩みは、共感できる人が必ずいます。
私もその一人として、あなたの力になりたいと思っています。
これまで多くの方々が、自分自身と向き合いながら前に進んできました。
あなたもきっと、自分らしい生き方を見つけることができます。その一歩を踏み出すお手伝いをさせていただければ幸いです。
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