大人の発達障害 【大人の発達障害と自己効力感の低下について】
大人になると、私たちの生活や仕事に対する姿勢は、さまざまな要因によって影響を受けます。
その中でも「自己効力感」は、日々の行動や心の持ち方に深く関わっています。
自己効力感とは、自分が何かを達成できるという信念を指し、この感覚が強いほど、新しい挑戦に前向きに取り組むことができます。
しかし、自己効力感が低下してしまうと、さまざまな場面で自信を失い、挑戦を避けるようになりがちです。
特に大人の発達障害を持つ人にとって、この自己効力感の低下は大きな課題となり、生活や仕事に悪循環を生む原因となることがあります。
今回は、自己効力感の低下がどのように影響を与えるのか、そしてその改善方法について考えていきます。
自己効力感とは、仕事や挑戦をうまできると信じる心のことです。
これが低いと、自分は何をやってもうまくいかないと感じるようになります。
大人の発達障害を持つ人は自己効力感が低い傾向にあります。
それは、成功体験とは逆にうまくいかない経験を多く重ねてしまっているからです。
そもそも自己効力感が低下すると、どうなるのか?見ていきましょう。
自己効力感が低下すると具体的にどういうことが起きるの?
【挑戦を避けるようになる】
失敗を恐れ、新しいことへの挑戦を避けるようになります。
【自分を過小評価する】
自分の能力を低く見積もり、自信を失います。
これまでのネガティブな経験から自己効力感が低下し悪循環が生まれてしまいます。
大人の発達障害 【そもそも自己効力感とは何か?】
自己効力感とは、自分が何かをうまくやり遂げられると信じる気持ちのことです。
自己効力感が低いと、仕事を含めていろいろなことに「自分には無理かも」と感じて自信がなくなります。
たとえば、仕事のモチベーションが低下し、質や成果にも影響したり、プライベートな生活が消極的になり、家族や恋人、友人関係に悪影響を及ぼしたりします。
プライベートな面について具体的な例を見てみましょう
自己効力感の低下 家族との関わり方
- 家族と話す回数が減る: 自信がなくなると、家族との会話も少なくなる。
- 家族と過ごす時間が少なくなる: 一緒にいる時間が減って、自分の部屋にこもりがちになる。
- 家族からの助けを拒むことが多くなる: 困ったときでも、家族の助けを受け入れられなくなる。
- 自分の気持ちを家族に伝えにくくなる: 自分の思ってることや感じてることを話せなくなる。
- 家族のイベントや集まりを避ける: 家族での集まりやイベントに参加するのが億劫になる。
- 家族との関係に不満を感じる: 家族とうまくいってないと感じることが増える。
- 家族から孤立する感じがする: 家族の中で自分だけがひとりぼっちに感じる時がある。
- 家族の期待に応えられないと感じる: 家族が期待していることに応えられないと思うことが多くなる。
- 家族のサポートを感じにくくなる: 家族が支えてくれているのに、それを感じにくくなる。
- 家族に対して申し訳なく感じる: 家族に迷惑をかけている、申し訳ないと思うことが増える。
自己効力感の低下 友達との関わり方
- 友達とあまり話さなくなる: 自信がないと、友達と話すことが減ってしまう。
- 友達とのトラブルがストレスに: 小さなトラブルでも、すごくストレスを感じやすくなる。
- 遊びに行くことが少なくなる: 自分に自信がないので、友達との遊びにもあまり行かなくなる。
- 助けを求めにくい: 困ったときに友達に助けを求めることが苦手になる。
- 友達との関係が浅い: 友達と深い関係を築くのが難しく、関係が浅いままになることが多い。
- 自分を悪く思う: 友達との関係がうまくいかないと、自分のことをますます悪く思ってしまう。
- 自分から人と離れる: 人と関わるのが嫌になって、自分からひとりでいることを選ぶようになる。
- 友達を失いやすい: 友達と仲良くするのも難しくなって、友達が少なくなる。
- ひとりぼっちを感じる: 友達が少なくなることで、孤独を感じやすくなる。
- 新しい友達を作るのが難しい: 自信がなく、新しい友達を作るのも難しくなる。
自己効力感の低下 恋人との関わり方
- デートの計画を立てるのが難しい: 自信がないと、どこに行こうか、何をしようか決めるのが大変。
- 恋人とのコミュニケーションが少なくなる: 話すことが少なくなって、メッセージを送ることも減る。
- 恋人への感謝の気持ちを表現しにくい: ありがとうや好きだよと言うことが難しくなる。
- 恋人の小さな行動に過剰に反応する: ちょっとしたことで傷ついたり、怒ったりすることが増える。
- 恋人との将来を考えるのが怖くなる: 一緒にいる未来を想像するのが不安になる。
- 恋人からの助けを受け入れにくい: 困ったときも、なかなか助けてほしいと言えない。
- 恋人との距離感がわからなくなる: どれくらい近づいていいのか、どれくらいスペースをあけるべきか迷う。
- 小さな喧嘩が多くなる: ちょっとしたことでケンカになったり、すぐに不機嫌になることが増える。
- 一緒にいても楽しめない: 一緒にいても楽しいと感じることが少なくなる。
- 恋人に対して申し訳なさを感じる: 自分が恋人に迷惑をかけている、足りない存在だと思うことが増える。
家族、友人、恋人との関わりで共通して言えることは、自分に自信がなくなることが原因でさまざまなことを”ネガティブに捉えてしまう”ということです。
そしてネガティブな感情になると、行動にも表れて悪循環になってしまいます。
大人の発達障害 【仕事編 自己効力感の低下による影響】
- 仕事を効率的に進められないことによる自己不信
- 成果を出せないことに対する失望感
- 自分の能力に疑問を感じたり他人と比べて落ち込む
自己効力感の低下による仕事面での影響について実例をみていきましょう。
【モチベーションの低下】
失敗を繰り返すことで、新たな仕事に取り組む意欲が減少する。
【消極的になる】
失敗の恐れから、新しい仕事や挑戦を避けるようになる。
【ストレスと不安】
自分の能力に自信が持てないため、仕事中は常にストレスや不安を感じる。
【対人関係】
職場での失敗を他人のせいにしたり、批判的になったりする。自分と他人を比べてますます自信をなくす。
自己効力感を高める方法は”小さな成功を積み重ねること”です。
取り組みやすい具体的な方法を紹介します。
自己効力感を高める具体的な方法①
【一日の始めに簡単な業務を完了する】
メールの返信を数件行う、デスクを整理する、一日のスケジュールを確認するなど簡単かつ失敗の少ない業務に取り組む。
朝から成功体験を積むことで、前向きにな気持ちになります。
【小さな仕事を完璧にする】
簡単なレポートの作成、プレゼンテーションの準備など、一日か二日で完了できる仕事をしっかりやりきること。
中途半端にせず、決められた期間内でやりきるということが大切です。
【時間内に仕事をこなすチャレンジをする】
30分以内に特定の書類を整理する、1時間以内に問題に対する解決策を見つけるなど、ゲーム感覚でもよいので短い時間でクリアできる仕事に取り組む。
【簡単な仕事をあえてする】
達成感を得るために、あえて簡単にクリアできる仕事を優先にする。
急ぎの仕事がない場合に限りますが、プリンターのトラブルシューティング、単純な計算問題の解決などをこちらもゲーム感覚でトライすることで成功体験を得ることができます。
【整理整頓】
机の上や仕事のファイルを整理し、清潔で整頓された環境を維持する。
環境が整っていると思考や感情もごちゃごちゃになりにくく仕事をするのに適した環境を作ることができます。
自己効力感を高める具体的な方法② 目標設定
達成が可能な目標を設定し、それに向けて段階的に取り組むことが大切です。
【1週間毎日決まった時間に出社する】
自分の中で決めた時間(始業10分前など)に出社することを目標とし、週ごとに振り返る。
【毎日タスクリストを作成する】
一日の始めにやるべきことをリスト化し、一つずつ処理する。
【一日を振り返る】
毎日の仕事の終わりに、その日の成果を振り返る。
一日の終わりに、その日に達成したことを振り返り、自分自身を評価したり自分と向き合う時間を作る。
【毎日メールチェックを行う】
一日の始めと終わりにメールをチェックし、必要な返信を行うことを習慣にする。
習慣化することでメールの返信漏れや確認漏れを解消する。
【週ごとの目標を決める】
毎週、少なくとも一つの新しいことを学ぶなどの目標を決める。
新しい業界のトレンド、技術、ポリシーなど、取り組むのに負担になりすぎないものから始める。
できることをコツコツと確実に!
そんな簡単なことを成功させたからって意味があるのか?と思われがちですが、成功体験の積み重ねはとても大切です。
これは実践することで、重要性に気付くと思うのでぜひやってみてください。
大人の発達障害 【自己効力感の低下による影響/周囲のサポート・マネジメント】
部下や同僚の自己効力感が低下していると思われる時には、周囲のサポートとフォローも効果的です。
本人の努力と周囲の理解が、自己効力感を高める一番の近道です。
組織の中に自己効力感が低下している人がいることは仕事においてプラスに働きません。
サポートやフォローもマネジメントの一部です。
大人の発達障害 自己効力感を高めるためには肯定的な評価が大切
期限までに書類を提出したり、プロジェクトの特定の部分を完了した際に上司や同僚から「よくできた」や「素晴らしい仕事だ」という言葉や評価は、本人に自信を与え、自己効力感を高めることにつながります。
否定ばかりするより、褒めるところや、評価するべきところはしっかりと相手に伝えましょう。
自己効力感が低下している人に対するサポートやフォローについて具体例を見ていきましょう。
【努力を認める】
指摘したことが改善した、以前より効率よく仕事をしているということが感じられたら積極的に評価してください。
なお、努力がまだ成果につながっていない場合でも努力をしているのなら評価をすることが大切です。
【感謝を伝える】
メールや手書きのメモで「ありがとう」や「あなたの仕事ぶりに感謝しています」などの感謝の気持ちを伝える。
仕事だから当たり前、これくらいやって当然という評価をするのではなく、まず感謝しましょう。
発達障害を持つ人にとって、「良い仕事をした」・「評価された」・「感謝された」という出来事は、自己効力感を高め、「私にもできる」という自信を育みます。
この自信がより一層の努力や成長へとつながるのです。
職場で発達障害を持つ人たちに対して肯定的な評価をすることで、もっと能力を発揮できるようになり、職場全体が良い方向に変わります。
そうすることで、みんなが一緒に成長し、仕事で満足感を得られるような良い職場が作られていきます。
人の悪いところを探すのではなく、良いところを探す。
発達障害を持つ人に限らず、すべての人にとって肯定的な評価は重要ですよね。
人を褒めること、良いところを見つけて認めることで、自信を育み、モチベーションを高めることができます。
本記事に記載されている特徴は、発達障害を持つ全ての個人に当てはまるわけではなく、個人差があることをご留意ください。
この記事の監修者
鈴木祐貴(すずき ゆたか)
大人の発達障害専門サポート
発達障害の特性を持つ大人のためのコンサルタントとして、多くの方の「自分らしく働く」未来をサポートしています。
発達障害を持つ方が普通に働き、安心して日常生活を送れるような環境作りに情熱を注いでいます。
経歴と実績▼
・人材育成のプロ:人材育成10年、マネジメント10年、管理職8年の経験を持ち、発達障害を持つ部下や後輩の育成にも成功。支店や部署全体の成績向上に貢献。
・多部門での実績:人事部、営業部、管理部、経営企画部で所属長を歴任。
営業・マーケティング、社内マネジメント、企画開発など幅広い分野で活躍。
大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)・ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)・グレーゾーン・繊細さん サポートについて
ここまでお付き合いくださりありがとうございます。
こちらの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
発達障害で悩んでいると、一人で抱え込みがちになってしまうかもしれません。
でも、あなたは決して一人ではありません。困ったときは、誰かを頼ってもいいんです。
むしろ、人とつながることで新しい視点や解決策が見つかることも多いものです。
自分の特性を理解し、それを活かすことで、これまで見えなかった可能性が広がります。あなたが感じている不安や悩みは、共感できる人が必ずいます。
私もその一人として、あなたの力になりたいと思っています。
これまで多くの方々が、自分自身と向き合いながら前に進んできました。
あなたもきっと、自分らしい生き方を見つけることができます。その一歩を踏み出すお手伝いをさせていただければ幸いです。
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