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毎朝、時間通りに仕事へ行くことは、多くの人にとって当たり前かもしれません。
しかし、発達障害を抱える大人にとって、時間を守ることが難しい場合があります。
遅刻を繰り返すことで、自分自身に対して「どうしてうまくできないのだろう」と悩むことも少なくありません。単なる自己管理の問題ではなく、発達障害の特性が原因となっていることもあります。
本記事では、なぜ発達障害を持つ人が仕事に遅刻してしまうのか、その背景と対策について詳しく見ていきます。
大人の発達障害 【仕事に遅刻する】
発達障害を抱える大人にとって、仕事に遅刻してしまうという悩みはよくあるものです。
しかし、その遅刻が単なる自己管理の問題ではなく、発達障害の特性に深く関係していることを理解する人は少ないかもしれません。
時間管理が難しく、優先順位をつけるのが苦手なため、気づけば予定の時間に遅れてしまうことが頻繁に起こります。
発達障害を持つ方が仕事に遅れてしまう背景には、さまざまな要因が絡んでいます。
遅刻をしたくて”故意”にしているわけではありません。
遅刻をしてしまうのか?遅刻を繰り返ししてまうのか?
詳しくみていきましょう。
注意力が散漫
発達障害を持つ方は、ADHD(注意欠陥・多動性障害)の影響で集中力が持続しづらいです。
これは日常においても、仕事においても言えることで、集中力を維持することが難しく、時間内に作業や準備、仕事が終わらないことがあります。
ADHDを持つ人の約70%が集中力が維持しづらいせいで、時間の管理に悩みを抱えているという研究もあります。
- 注意力の散漫さや集中力の持続が困難であるため、準備中に他のことに気を取られてしまうことがあります。
- 出発する準備をしている最中に他のタスクや興味があることに集中してしまい、時間が過ぎてしまうことがあります。
時間管理の難しさ
大人の発達障害を持つ方は、時間を見積もることが苦手です。
その結果、予定通りに物事を進めるのが難しくなります。
- 発達障害、特にADHD(注意欠陥・多動性障害)を持つ人は、時間感覚や時間管理に問題を抱えることが多いです。
- 時間を正確に見積もったり、スケジュールを効率的に計画したりすることが難しくなります。
優先順位を立てるのが苦手
たくさんの情報から、何が一番大切かを選ぶことが難しく、すべての仕事や作業が同じくらい重要に思えることがあります。
- 日常的なタスクに対する優先順位の設定が難しいため、重要な準備を見落とすことがあります。
- 出勤前の準備よりも他の活動(例えばSNSの確認など)に時間を取られることがあります。
睡眠障害や疲労
発達障害特有の問題(脳内の注意力や活動レベルを調節する神経伝達物質のバランスの乱れなど)により、十分な睡眠が取れないことも多く、朝起きるのが難しくなります。
睡眠が不十分だと、目覚めが悪く、朝の準備が遅れがちになるため、遅刻に繋がります。
- 神経伝達物質のバランスの乱れなどが睡眠パターンに影響を与え、入眠が困難になったり、睡眠の質の低下を引き起こしたりすることがあります。
- 不安障害やうつ病といった他の心理的な問題も抱えていることがあり、睡眠の質を低下させてしまいます。
特徴 | 説明 |
---|---|
注意力が散漫 | ADHDによる影響で集中力が続かず、注意力が散漫になりやすい |
集中力の維持が難しい | 日常生活や仕事において、時間内に作業や準備を完了できないことが多い |
準備中に他のことに気を取られる | 準備中に他のことに気を取られたことで、予定より時間が過ぎる |
時間管理に苦労する | 時間を見積もることが苦手で、予定通りに進めるのが難しい |
優先順位を立てるのが苦手 | 情報を整理して優先順位をつけるのが難しく、準備を後回しにしてしまうことがある |
睡眠障害や疲労 | 神経伝達物質のバランスの乱れにより、睡眠不足や疲労感に悩まされることがある |
具体的な遅刻の例と対策について触れていきましょう!
大人の発達障害 【遅刻の具体例と対策】
寝坊による遅刻
状況:会社から徒歩5分の距離に住んでいるにもかかわらず、寝坊により遅刻。
対策:複数のアラームを利用し、起床時間の管理を徹底する。
服装による遅刻
状況: 革靴とサンダルを履き間違え、家に戻って履き替えて遅刻。着ていく服が決まらずに悩み続けて遅刻。
対策:前日の夜に服装を準備し、朝起きたら着替える。靴は朝履くものだけ玄関に出しておく。
交通手段の確認もれ
状況:交通機関の運行情報を確認せずに家を出て、運行遅延により遅刻。
対策:出勤前に交通アプリで最新の運行情報を確認し、余裕を持った出発時間を設定する。
前日の徹夜
状況:優先順位がつけられずやらなくてよい仕事を夜遅くまで作業し、その疲れから寝坊してしまう。
対策:仕事の期限を確認して無理をし過ぎない。なお緊急の仕事の場合は、早めに上司や同僚に相談し、翌日のスケジュール調整を図る。
大人の発達障害 【遅刻をしてしまった時の気持ち】
1. 不安と焦り
- 遅刻することで、予定が狂い、一日の仕事が遅れることに対する不安。
- 職場での自分の立場や評価に対する焦り。
2. 罪悪感
- 同僚や上司に迷惑をかけ、業務に影響を与えることへの罪悪感。
- 重要なミーティングや期限に間に合わないことに対する自責の念。
3. 自己嫌悪
- 何度も繰り返す遅刻による自己管理能力への疑問。
- 「なぜ自分はうまくできないのか」という自己嫌悪の感情。
4. ストレスと負担
- 遅刻が原因で感じるストレスと、遅刻をリカバリー(言い訳や遅刻への対処)しようとする心理的負担。
- 日常的なルーチンを守ることの難しさに対するストレス。
他の人から見たら遅刻を繰り返すことが理解できず困っているかもしれませんが、実は遅刻をしてしまう本人が一番悩んでいます。
大人の発達障害 【遅刻をしてしまった時の”具体的”な気持ち】
「また遅刻してしまった…」
遅刻してしまったとき、心の中はパニックでいっぱいです。
またやってしまった、という自己嫌悪の感情が強いです。
「なんでこんな簡単なこともできないんだろう」と自分を責めてしまいます。
「もう慣れたけど、ツライ」
遅刻はもはや日常的なことで、慣れてはいるけど、それが余計に悲しい。
毎回、時間を守ることの大切さを自分に言い聞かせても、結局は同じ過ちを繰り返してしまう。
「みんなに迷惑をかけている…」
遅刻するたびに、同僚や上司、仕事関係者に迷惑をかけていると感じる。
自分のせいで他の人の時間や予定に悪影響を与えていると思うと、申し訳なさで胸がいっぱいになります。
「改善したいけど、難しい」
時間管理をもっとうまくやりたい、遅刻しない自分になりたいと思っています。
でも、どうしても計画通りにいかない。
朝、なかなか起きられなかったり、家を出る準備に手間取ったりすることが多いんです。
「挫折感」
自分の発達障害が原因で、時間管理がうまくいかないことを知っています。
でも、それが理由だとしても、常に遅刻する自分を受け入れるのは難しい。挫折感を感じます。
大人の発達障害 【遅刻の改善方法・遅刻を治す方法】
大人の発達障害を持つ人が職場で遅刻するという問題は、その原因をきちんと把握して適切な手を打つことにより、改善へと導くことが可能です。
自分の努力
複数目覚まし時計を置く、寝る前に次の日の用意を全部する、時間を管理するアプリを使用するなど、自分に合った方法を探してみましょう。
また、大きなカレンダーやホワイトボードに予定を書き出して見える化することで、毎日の計画を立てるのが楽になります。
周囲の理解(職場でのフォロー)
職場で発達障害への理解を深め、働きやすいように時間を調整したり、仕事の内容を変えたりすることが大切です。
たとえば、朝はゆっくり始められるようにしたり、午後に大事な仕事をするように計画したりするなど、その人に合った方法でサポートすることが大切です。
カウンセリングや専門家に頼る
必要に応じて、カウンセリングや専門家の助けを借りることも有効です。
あなたをしっかりと理解している方のサポートであれば時間管理のスキル向上やストレス軽減に役立ちます。
時間管理のスキルは訓練によってかなり改善されます。遅刻を治したいと思って自分で努力したけどダメだった、努力できなかった場合には人に頼ることも検討すると良いでしょう。
本記事に記載されている特徴は、発達障害を持つ全ての個人に当てはまるわけではなく、個人差があることをご留意ください。
この記事の監修者
鈴木祐貴(すずき ゆたか)
大人の発達障害専門サポート
発達障害の特性を持つ大人のためのコンサルタントとして、多くの方の「自分らしく働く」未来をサポートしています。
発達障害を持つ方が普通に働き、安心して日常生活を送れるような環境作りに情熱を注いでいます。
経歴と実績▼
・人材育成のプロ:人材育成10年、マネジメント10年、管理職8年の経験を持ち、発達障害を持つ部下や後輩の育成にも成功。支店や部署全体の成績向上に貢献。
・多部門での実績:人事部、営業部、管理部、経営企画部で所属長を歴任。
営業・マーケティング、社内マネジメント、企画開発など幅広い分野で活躍。
大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)・ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)・グレーゾーン・繊細さん サポートについて
ここまでお付き合いくださりありがとうございます。
こちらの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
発達障害で悩んでいると、一人で抱え込みがちになってしまうかもしれません。
でも、あなたは決して一人ではありません。困ったときは、誰かを頼ってもいいんです。
むしろ、人とつながることで新しい視点や解決策が見つかることも多いものです。
自分の特性を理解し、それを活かすことで、これまで見えなかった可能性が広がります。あなたが感じている不安や悩みは、共感できる人が必ずいます。
私もその一人として、あなたの力になりたいと思っています。
これまで多くの方々が、自分自身と向き合いながら前に進んできました。
あなたもきっと、自分らしい生き方を見つけることができます。その一歩を踏み出すお手伝いをさせていただければ幸いです。
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