大人の発達障害 【ASD女性の特徴 自閉スペクトラム症】 

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大人の発達障害 ASD女性の特徴 自閉スペクトラム症

発達障害の中でも、ADHD(注意欠如・多動症)は耳にしたことがある方も多いと思います。
一方、ASD(自閉スペクトラム症)はADHDに比べると割合が少なく、特に女性では診断されにくいと言われています。

しかし、実は「女性のASDがまれなわけではない」という説があります。
実際には診断に至らない「グレーゾーン」の方も多く存在しているというのです。

女性の場合、ASDの症状が表面的には分かりにくいとされています。
たとえば、人前では適切に振る舞うことができているように見えるため、問題が目立たないということがあります。

これにより、周囲から「特に困っていないのではないか」と思われることが多く、支援を求める機会が遅れることがあるのです。
そのため、適切な支援を受けるまでに時間がかかる場合があります。

今回は、女性特有のASDの特徴や、日常生活でどのような困難が生じやすいのかについて詳しく見ていきたいと思います。

表面的に問題が見えないと、どうしても周囲からの理解を得にくいですよね。

個人差はありますが、女性は対人関係において他者との調和を大切にしており、「嫌われたくない」「浮かないようにしたい」という願望が強い傾向があります。

そのため、「空気を読んで」自身の感情や態度を抑え、対人トラブルを回避しようとするのです。

このように、自然と周囲の反応を観察し、場の雰囲気に合わせた行動を取ることを身につけていくため、女性は協調性が高いと言えます。

ASDの女性も同様に、自分が感じる違和感や苦手な部分を見せないよう努力することで、周囲に適応しているように振舞っている場合があります。

自分の感情や困難を隠すことで、周囲には自然に適応しているように見えるかもしれませんが、内心では葛藤を抱えていることも考えられます。

自分の違和感や苦手な部分を周囲に見せないように努力しながら毎日を過ごすことは、ASDの女性にとって大きな負担となります。

本当の気持ちを抑え込んで生活しているため、ストレスや疲労が蓄積しやすく、その結果、家庭内やプライベートな場面では緊張が解け、一気に感情が噴出することもあります。

これは表面的にはうまくいっているように見える一方で、内面的には大きな葛藤を抱えていることを示しています。

ASDの女性はこの「適応行動」があまりにも自然になっているため、自分が無理をしていることに気づかないことがあります。
そのため、問題が顕在化するまでに長い時間がかかることが多いのです。

ずっと自分を抑えていると、どこかでその反動が出てしまう心配はありますよね。

女性が社会的に適切に振る舞える背景には、対人関係の調和や周囲の期待に応えるための努力が存在しています。
この振る舞いは一見すると「普通」に見えますが、実際には多くの負担を伴うことが多く、支援が必要な場面も多々あるのです。

大人のASDについて、女性特有の特徴を見ながら、具体的な事例も合わせて確認してみましょう。

大人の発達障害 ASD女性の特徴 受動型の傾向

女性のASDには、「受動型」と呼ばれる受け身な性格が見られることが多いです。

「受動型」の方は、自ら積極的に行動することが少なく、他人の影響を受けやすい傾向があります。
そのため、周囲から見ると問題が目立たず、社会に溶け込んでいるように見えることも少なくありません。

ですが、実際には他人に合わせることでストレスを感じる場面も多く、疲労感が蓄積しやすい特徴を持っています。

「受動型」の方の具体的な事例を見ていきましょう。

Aさんは、営業部で働く女性です。

彼女は常に周囲との調和を大切にし、周りからの期待に応えることを優先する傾向があります。
ある日、上司が急遽、大きなプロジェクトのリーダーを任命することになり、Aさんにもリーダー候補として声がかかりました。
彼女自身はリーダーを引き受ける自信がなく、裏方としてサポートする役割を好んでいましたが、上司の「ぜひやってほしい」という言葉に断りきれず、リーダー役を引き受けることに。

プロジェクトが進むにつれ、Aさんは周囲からのプレッシャーを強く感じ、自分の意見や判断を表明することが難しくなっていきました。

他のメンバーの意見に流され、時には無理な要求に応じてしまうことも増え、次第にリーダーとしての役割を果たすことに限界を感じるようになりました。

最終的にプロジェクトは無事に終わったものの、Aさんにはストレスが積み重なり、心身ともに疲弊してしまいました。

Bさんは、休日に友人たちと買い物に出かけることが多い女性です。
しかし、彼女は他人の意見に流されやすく、自分の希望を言うことがほとんどありません。

ある日、友人とショッピングモールを訪れた際、友人たちが「この服が似合うんじゃない?」と勧めてくれた服を試着することになりました。

Bさんはそのデザインが自分の好みではなかったものの、「みんなが良いって言っているし…」と断ることができず、そのまま購入してしまいました。

家に帰った後、改めてその服を見たBさんは、実際にはまったく気に入っていないことに気づきました。
友人たちの期待に応えるために自分の感情を抑えてしまい、本当に欲しかったものを選べなかったことで、次第に自己嫌悪に陥るようになりました。

こうした経験は一度だけではなく、日常的に続いているため、彼女は徐々に友人との付き合いにも疲れを感じるようになってしまいました。

大人の発達障害 ASD女性の特徴 診断の遅れとその影響

女性の場合、ASDの診断が遅れることがよくあります。

小学校低学年までに目立ち始めることの多い男性のASDに比べ、女性のASDは幼少期には周囲に適応しているように見えます。
しかし、対人関係が複雑になる思春期や成人期に入ると、問題が顕在化するケースが多いです。

そのため、10代後半から成人期にかけてASDの診断をされることがあり、この診断の遅れによって、適切なサポートを受けられないまま成長することもあります。

幼少期に問題が見えにくいことで、適切な支援が受けられないのは大きな課題ですね。

思春期や成人期において、対人関係がますます複雑化するのは、自己表現や感情のコントロール、対話の場面でより高度なスキルが求められるためです。

幼少期には、単純な友達付き合いや家族との関わりが中心ですが、成長とともに、友情や恋愛、さらには職場など人間関係が複雑化していくことで、他者との調整や対話の技術が必要になります。

このような状況になると、受動的な特性を持つASDの女性は自分の意見を発する機会がさらに少なくなり、無意識に周囲に合わせることが増えるため、内面的なストレスを抱えやすくなります。

また、期待される行動が年齢とともに変化することで、自分の特性が目立ち、対人トラブルが表面化しやすくなったり、違和感や困難を感じやすくなります。

成長に伴って要求されるスキルが高度になることで、自分の特性が浮き彫りになってしまうんですね。

診断が遅れると、ASDの女性が精神的に負担を抱える期間が長引いてしまいます。

自分の特性に気づかないまま、社会や周囲の期待に応えようと無理に振る舞ったり、他人に合わせることで対人関係を維持しようとしたりなど、自分の感情や意思を抑え込むことが多くなり、日常的に大きなストレスを抱えやすくなります。

また、自分の行動や選択が他人に左右され続けることで、次第に自己評価も低下していきます。

「自分は周囲と違う」「自分は何をやっても上手くいかない」と感じるようになり、自己嫌悪や無力感が強まることもよくあります。

このような状態が続くと、周囲とのコミュニケーションに対する恐れや不安が増し、次第に人との関わりを避けるようになり、孤立感を深めてしまうケースが多く見られます。

こうした内面の苦しみやストレスが長期間にわたり蓄積されると、「うつ病」「不安障害」といった二次障害が発症するリスクが高まります。

また、精神的な負担が増すと、身体にも影響が及び、頭痛や不眠、胃痛などの身体的な不調が現れることも少なくありません。

そのため、早期に自分の特性を理解し、適切なサポートを受けることが非常に重要です。

自分自身を肯定し、他人との適切な距離感を持ちながら、自分らしい生活を送るためには、周囲からの理解と支援が欠かせません。

この記事の監修者

鈴木祐貴(すずき ゆたか)

大人の発達障害専門サポート

発達障害の特性を持つ大人のためのコンサルタントとして、多くの方の「自分らしく働く」未来をサポートしています。

発達障害を持つ方が普通に働き、安心して日常生活を送れるような環境作りに情熱を注いでいます。

経歴と実績▼

・人材育成のプロ:人材育成10年、マネジメント10年、管理職8年の経験を持ち、発達障害を持つ部下や後輩の育成にも成功。支店や部署全体の成績向上に貢献。

・多部門での実績:人事部、営業部、管理部、経営企画部で所属長を歴任。
営業・マーケティング、社内マネジメント、企画開発など幅広い分野で活躍。

大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)・ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)・グレーゾーン・繊細さん サポートについて

ここまでお付き合いくださりありがとうございます。
こちらの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。

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