発達障害を持つ人たちが直面する課題を実体験から考えましょう
発達障害を持つ方々が日常や職場で感じる葛藤や挑戦、その解決法は個人ごとにさまざまです。
今回のアンケートは、発達障害を持つ方が経験しているリアルなエピソードを通じて、その思いや悩みに寄り添い、より深い理解とサポートのヒントを提供します。記事を通して、安心して働ける環境づくりや、共感と理解を深める手がかりを見つけていただければ幸いです。
どうぞご自身や周囲のサポートにお役立てください。
発達障害を抱える方々が語る職場での本音と葛藤
ももこさんのリアルな体験談/IT業界
★お名前を教えてください(イニシャル・ニックネーム など可能です)
「ももこ」です。
★年齢を教えてください
37歳です。
★性別を教えてください
「女性」です。
★あなたが自覚している発達障害の特性は?
ADHD(注意欠如・多動症)です。
★転職回数を教えてください
1回です。
★転職した理由を教えてください
以前の職場では昇給が見込めなく悩んでいた時に、今の職場からスカウトを受けて転職した。
★失敗体験や辛い経験をした時の年齢を教えてください
27歳です。
★その時の職種と業種を教えてください
デザイナー/アパレル
※掲載内容は原文そのままとなっており、誤字や脱字が含まれる場合がございます。ご了承ください。
発達障害の特性がもたらす職場での悩み
・文字入力を伴うことなど事務的な作業がとても苦手です。
何度も間違いが無いか確認しているはずなのになぜかミスが起きてしまいます。
はじめのうちはなぜできないのか自分も周りも理解ができなくて悩んでいましたが、しばらくしてこういった凡ミスは、ADHDの注意力欠陥という特性によるものだと理解できるようになってきました。
それからは自分だけで仕事を完結しないように、できるだけ他の人にチェックをしてもらうようにしています。
・注意散漫で一つのことをしながら常に他のことを考えてしまい、落ち着きがありません。
たとえば一つの仕事を終わらせていないのに、別の仕事のアイディアを思いついて二つ目の仕事に取り掛かってしまい同時進行でいくつもの案件を進めていくので、ひとつひとつの仕事をなかなか完成させられません。
スケジュールの管理も苦手なことなので、逆算して仕事のスケジュールを立てて進めていくことが難しく、結局納期に間に合わせることができない、ということがたびたび起こります。
チーム内でスケジュール管理をしっかりしてくれる人がいればなんとかできます。
・なぜか数字というものが壊滅的に苦手で全く認識できません。
2桁ぐらいの数字は覚えられるが、3桁以上の数字は全く理解できず、数秒のことだとしても覚えるのがとても困難です。
例えば製品の品番をバーっと口頭で伝えられても一つも覚えられず、何度も聞き返すことになってしまい相手を手間取らせてしまいます。
メモに書いたりすればそれを見ながら入力したりできるので、つねにメモ帳を持ち歩いています。
また、売り上げやコスト管理といった数字にまつわる幅広い業務は全くできないので、他の人に任せています。
上司や同僚との関係で感じるコミュニケーションの課題
・自分の意見が正しいと思い込んで相手の気持ちを汲まずに上司でも部下でも関係なく理詰めして追い詰めてしまいます。その結果、暗い、怖い人だと思われて人から距離をおかれてしまうことがしばしばあります。
・ごくまれに、爆発的なひらめきで良い物を作り上げてしまうことがあるので、そういった時は上司や同僚からの妬みの対象になってしまうことがあります。
・視野が狭く、一つのことに集中しだすと自分の世界に入り込んでしまいがちです。集中力があると言えば聞こえは良いものですが、たくさんの人とコミュニケーションを取りながら進めていく仕事では悪い特性になってしまいます。
自分だけで黙々と作業を進めていくのは集中できて良いのですが、それによって話しかけづらかったりミスを指摘しづらくなり、適切なタイミングで指示を仰げず、お互いにあとあと困ることになってしまいます。
・自分の得意なこと以外は興味を持てないため、そういうものは理解力が著しく低くなってしまうので、まったく頭に入ってきません。そのため何度も同じ質問を繰り返してしまいます。
上司をイラっとさせる地雷を頻繁に踏んでしまいます(悪気はありません!!)
・自分が興味の無いことに関してはとことん興味が無いので、社内での雑談などがどうにも盛り上がらずノリが悪いと思われてしまいます。飲み会や休日の誘いなんてもってのほか!という態度をとってしまうので、ノリの良い同僚や後輩は上司にかわいがってもらえていてそれに比べて損をしているなあと思っていました。
今の時代はプライベートと仕事はきっちり分ける考えも浸透してきているので良いと思いますが、数年前はそれが良いことだとはあまり認識されていなかったと思います。
その問題にどう取り組んだか、また対応に苦労した経験について
・事務的な作業、数字が苦手。
→自分がやらなくても良いように他の得意な人にやってもらえるように上司に相談しました。
それでもどうしてもやらなければならない場合も出てきますが、そういうときは自分だけで仕事を完結しないようにできるだけ他の人にチェックをしてもらうようにしています。
数字についてはメモに書いたりすれば、それを見ながら入力したりできるので、つねにメモ帳を持ち歩いています。スマホのメモ機能もかなり頻繁に使っていて、すぐに起動できるようにしています。
また、売り上げやコスト管理といった数字にまつわる幅広い業務は全くできないので、これも他の人に任せています。
・注意散漫で落ち着きがなく、スケジュール管理ができない。
→一度にたくさんの案件を抱え込まなくて良いように、仕事依頼はひとつずつしてもらうように上司に話しました。
スケジュール管理も無理に自分で何とかしないようにして、チーム内で管理をしっかりしてくれる人がいればなんとかできます。
トラブルが起来てからでなく、トラブルが起こりそうな気がする…と思った時点で周りに相談することを心掛けています。・上司や同僚とのコミュニケーションが上手く取れない
→無理に自分からコミュニケーションを取ろうとせず、話の合う人、ウマの合う人とだけ話すようにしました。
自分の嫌なことを無理矢理するのはストレスが溜まるだけなので、「あの人はああいう人なんだ」というキャラクター付けをしてもらえばいいや、と思うようになったら精神的にも楽になりました。
「上司にかわいがられる後輩キャラ」に憧れが無いわけではないのですが、人には向き不向きがあるのでしょうがないです。
そう思って行動していたら、なぜか人づてに気の合う人が周りに集まってくるようになり自然と交友関係も良好になってきて、心地よい環境になって無駄に人間関係で悩むこともなくなりました。
困難が続いたときに抱いた気持ちと向き合い方
クリエイティブなことと事務的なことを両立しなければならない仕事内容なので、ミスをしてしまってしょっちゅう負のループに陥ることがあります。
具体的には、基本的には納期が決まっておりそれに向かって仕事を進めていく仕事なのにスケジュール管理が苦手なため納期が間に合わなくて納品できないことがあります。
それに加えて、文字入力や数字の印字など簡単な作業でも凡ミスによって間違えてしまい、あとから製品に不備がみつかったりというADHDによる注意力欠陥という特性によるミスによる失敗が頻繁に起きてしまいます。
その他にも自分以外の人の人的ミスによるどうしようもないトラブルに巻き込まれたりいろいろな原因でしばしば落ち込みます。
そういう時は「自分はこの仕事はやっぱり向いていないのかもしれない」「こんなものを作っていてなんの意味があるのだろう」「ゴミばかり作って経費がかさんでいくばかりじゃないか」「誰も幸せにならない」などと、どんどんネガティブな思考に陥ってしまい、なかなか抜け出せなくなります。
そういうときは性格も鬱っぽくなってしまい仕事のパフォーマンスも下がってしまいます。お恥ずかしいのですが正直なところ、定期的にそういった思考にハマってしまう周期がやってくるので客観的に自分を見てみるととても厄介な人間だと思います。
しかしそういう時は上司や周りの同僚、全然関係の無い家族や友人に話を聞いてもらい励ましてもらうことでなんとかポジティブな思考に持っていくようにしています。
そんなことを何度も繰り返しながらこの仕事を続けられているので、本当に毎回周りの人たちに助けられているなあと思い、頭が上がらない思いで日々感謝しています。
発達障害の特性を持ちながらでも、仕事で達成感を感じた経験はありますか?
成功や達成感を感じたときは、街なかで自分の手掛けた商品を身に着けている全く知らない人を見かけた時です。
これは特性なのかもしれませんが、私はどんなに人ごみの中でも一瞬で自分のデザインした商品を見つけることが出来ます。商品を気に入って購入、着用してくれることに本当に感謝するし、幸せな気持ちになります。
さすがに見知らぬ人に声をかけることはしませんが、できれば「どこが気に入って買ったんですか?」「似合いますね!」「ありがとうございます!」とひとりひとりに声を掛けたいぐらい嬉しいです。
この喜びは他の何にも代えがたいもので、どんなに仕事がつらくても一瞬で疲れが吹き飛ぶくらいの威力があります。
私は自分の得意な仕事内容ならどれだけでもできるので、自分の特性をよく理解してそれを発揮できる職に就くことが出来ればとても達成感を感じられます。
特にデザイナーという仕事は自分のクリエイティビティを存分に発揮できる仕事なので、この仕事に就くことが出来てとても良かったと思います。
現在の職場では私の特性や得意なことをよく理解してくれて、逆に苦手なこと(営業や商談など)はできるだけしなくても良いようにしてデザインに集中できるように配慮してくれる環境なのでとてもやりやすく、感謝しています。
今後もより良い物を作れるようにインプットとアウトプットを繰り返して成長していきたいと思っています。
彼女はADHD(注意欠如・多動症)の特性を持ち、特に事務的な作業や数字の扱いに困難を感じています。何度確認してもミスが起きてしまい、文字入力や数字の認識が苦手で、3桁以上の数字を覚えることが難しいといいます。
また、注意散漫で一つのことに集中しながらも、別のアイデアが浮かぶとそちらに取り掛かってしまい、複数の案件を同時進行することでスケジュール管理が難しくなり、納期に間に合わないこともありました。
職場でのコミュニケーションでは、自分の意見を強く主張してしまい、相手の気持ちを考慮せずに話すことで、周囲から距離を置かれることがあったそうです。
また、興味のない話題には関心を持てず、社内の雑談や飲み会への参加を避けていたため、人間関係に影響が出ていました。
この発達障害の実体験から見えてくる課題は、職場でのコミュニケーションや業務の進め方における困難さです。ADHDの仕事の悩みとして、注意力の欠如やスケジュール管理の難しさ、数字の認識が苦手といった点が挙げられます。
本記事に記載されている特徴は、発達障害を持つ全ての個人に当てはまるわけではなく、個人差があることをご留意ください。
この記事の監修者
鈴木祐貴(すずき ゆたか)
大人の発達障害専門サポート
発達障害の特性を持つ大人のためのコンサルタントとして、多くの方の「自分らしく働く」未来をサポートしています。
発達障害を持つ方が普通に働き、安心して日常生活を送れるような環境作りに情熱を注いでいます。
経歴と実績▼
・人材育成のプロ:人材育成10年、マネジメント10年、管理職8年の経験を持ち、発達障害を持つ部下や後輩の育成にも成功。支店や部署全体の成績向上に貢献。
・多部門での実績:人事部、営業部、管理部、経営企画部で所属長を歴任。
営業・マーケティング、社内マネジメント、企画開発など幅広い分野で活躍。
大人の発達障害 ADHD(注意欠如・多動症)・ASD(自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群)・グレーゾーン・繊細さん サポートについて
ここまでお付き合いくださりありがとうございます。
こちらの記事が少しでもお役に立てれば幸いです。
発達障害で悩んでいると、一人で抱え込みがちになってしまうかもしれません。
でも、あなたは決して一人ではありません。困ったときは、誰かを頼ってもいいんです。
むしろ、人とつながることで新しい視点や解決策が見つかることも多いものです。
自分の特性を理解し、それを活かすことで、これまで見えなかった可能性が広がります。あなたが感じている不安や悩みは、共感できる人が必ずいます。
私もその一人として、あなたの力になりたいと思っています。
これまで多くの方々が、自分自身と向き合いながら前に進んできました。
あなたもきっと、自分らしい生き方を見つけることができます。その一歩を踏み出すお手伝いをさせていただければ幸いです。
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ぜひご覧になってみてください。もし何か気になることや話してみたいことがあれば、いつでもお気軽にご連絡ください。
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