大人の発達障害 アスペルガー症候群 アスペ とは
かつて「アスペルガー症候群」として知られていたこの障害は、知的発達や言語の発達に遅れが見られない場合に用いられていました。
しかし、アメリカ精神医学会が発刊した『DSM-5』（精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版）では、自閉症に関連するさまざまな特徴を持つ障害が一つの診断名に統合され、「自閉スペクトラム症（ASD）」という新たな名称が導入されました。
さらに、2022年に発刊された『DSM-5-TR』（精神疾患の診断・統計マニュアル 第5版の本文改定版）でもこの名称が継続して使用されています。
アスペルガー症候群と自閉スペクトラム症との関係について説明すると、以前は知的障害の有無や言語発達の違いによって、複数のグループに分けられ、それぞれに異なる診断名が付けられていました。
しかし、これらの診断は症状の程度の差によるものであり、その境界を明確にすることは非常に困難でした。
アスペルガー症候群と自閉症は同じではありませんが、非常に関連が深い障害です。
そこで、これらを一つの連続体（スペクトラム）として捉える考え方が広まりました。
その結果、正常から重症まで、症状が連続的で境界が曖昧であることを意味する、「自閉スペクトラム症」または「自閉症スペクトラム障害」という診断名に統一されました。
このため、現在「アスペルガー症候群」や「アスペルガー障害」という名称は、正式な診断名としては使用されていません。
しかし、知的障害や言語の遅れがない一方で、コミュニケーションにおいて特有の困難を抱える状態を表す言葉として、今でも一部では使われています。
つまり、症状の軽重で診断名を分けていたものの、必ずしもそれらを明確に区別できるわけではなかったということですね。
大人の発達障害 自閉症とは！？
自閉症は、「自閉スペクトラム症（ASD）」と呼ばれる発達障害の一部です。
発達障害とは、生まれつき脳の機能に偏りがあり、主に社会的なコミュニケーションや行動に関して特有の困難を伴う障害を指します。
自閉症もこの定義に該当し、特に社会的な相互作用、コミュニケーション、行動のパターンにおいて特徴的な症状が現れます。
自閉症は生涯にわたる発達障害で、症状の程度は軽度から重度までさまざまです。
たとえば、言葉の発達が遅れる、社会的な場面でのやり取りが苦手、特定の興味や活動に強いこだわりを持つなどの特徴があります。
また、音や光に対する感覚過敏などの症状も見られることがあります。
発達障害には、自閉症以外にも注意欠如・多動症（ADHD）、学習障害（LD）などが含まれますが、自閉症はその中でも特に社会的なコミュニケーションの困難さが際立つ障害です。
・アスペルガー症候群と自閉症はかつて別の診断名で区別されていたが、現在は「自閉スペクトラム症（ASD）」として統合されている。
・アスペルガー症候群は知的障害がなく、言葉の発達にも遅れがないが、社会的なコミュニケーションに特有の困難がある状態を指していた。
・現在の診断基準では、これらは同じスペクトラム上にある障害として扱われている。
ASD（自閉スペクトラム症）についてさらに詳しく知りたい方は、別の記事をご参照ください。
大人の発達障害 アスペルガー症候群の特徴
アスペルガー症候群（現在は自閉スペクトラム症として分類されています）は、特定の認知や行動の特徴を持つことが多く、そのため、日常生活や対人関係でさまざまな困難に直面することがあります。
以下に、主な特徴を詳しく解説します。
まず、アスペルガー症候群の特徴の一つとして、会話を表面上は問題なくできるものの、言葉の裏に隠された意味を読み取ることが苦手であるという点が挙げられます。
言葉を文字通りに解釈する傾向が強く、遠まわしな表現や比喩、冗談、皮肉の理解が難しいです。
これが原因で、他者の意図を誤解したり、場の空気を読むことができず、コミュニケーションにおいてトラブルが生じてしまうことがあります。
・共感を示すのが苦手
・自分の話をずっとしてしまう
・相手の気持ちになって発言できない（傷つけてしまう）
さらに、アスペルガー症候群のもう一つの特徴は、興味の偏りと、ルーティンや規則性への強いこだわりです。
特定の分野に過剰に熱中し、それ以外には関心を持たないことがよくあります。
また、一度決まった手順やルーティンが崩れることに対して強い抵抗を示し、新しい環境や変化に適応することが苦手です。このようなこだわりが崩されると、極端なストレスを感じることがあります。
・物事や特定のことに強くこだわり、それ以外には関心を持たない
・決まった手順やルーティンが崩れることが許せない
・新しい環境や変化に適応するのが苦手
アスペルガー症候群（ASD/自閉スペクトラム症）の原因
アスペルガー症候群（現在は自閉スペクトラム症として分類されています）の原因は、現時点では明確には解明されていません。
しかし、さまざまな研究が進められており、複数の要因が関与していると考えられています。
現在の研究によれば、アスペルガー症候群を引き起こす原因は一つではなく、遺伝的要因や環境的要因が複雑に絡み合って発現する可能性が高いとされています。
遺伝的要因としては、遺伝子が関与した先天的なものである可能性が指摘されていますが、それが直接的に症状を引き起こすわけではありません。
胎児期や出生後における脳の発達過程で、さまざまな環境要因と相互に影響し合い、結果として脳の機能に障害が生じると考えられています。
原因が一つに限定されないということは、治療や支援も多面的に考える必要がありそうですね。
最近では、発達が気になるお子さまへの早期療育が注目されています。
早期からの介入や療育をしたからといって、アスペルガー症候群の特性そのものを治療することは難しいです。
しかし、特性により生じる困りごとを減らしたり、対処法を工夫していくことで、いじめや不登校、抑うつなどの二次的な問題を予防することはできるとされています。
そのため、個々の特性に応じたサポートを提供することが重要視されています。
アスペルガー症候群自体の治療は難しいけれど、個々の特性に合わせたサポートを早期に行うことで、二次的な問題を予防することができます！
アスペルガー症候群（ASD/自閉スペクトラム症）の原因は、多くの要因が複雑に絡み合っているため、全ての人に共通する単一の原因を特定することは非常に困難です。
しかし、理解が進むにつれ、より効果的な支援や介入が可能になることが期待されています。
本記事に記載されている特徴は、発達障害を持つ全ての個人に当てはまるわけではなく、個人差があることをご留意ください。
この記事の監修者
鈴木祐貴(すずき ゆたか)
大人の発達障害専門サポート
発達障害の特性を持つ大人のためのコンサルタントとして、多くの方の「自分らしく働く」未来をサポートしています。
発達障害を持つ方が普通に働き、安心して日常生活を送れるような環境作りに情熱を注いでいます。
経歴と実績▼
・人材育成のプロ：人材育成10年、マネジメント10年、管理職8年の経験を持ち、発達障害を持つ部下や後輩の育成にも成功。支店や部署全体の成績向上に貢献。
・多部門での実績：人事部、営業部、管理部、経営企画部で所属長を歴任。
営業・マーケティング、社内マネジメント、企画開発など幅広い分野で活躍。
大人の発達障害 ADHD（注意欠如・多動症）・ASD（自閉症スペクトラム症・アスペルガー症候群）・グレーゾーン・繊細さん サポートについて
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